M&A日本製鉄は18日、米鉄鋼大手USスチールの買収が完了したと発表した。買収を巡っては日本製鉄が141億ドル(2兆円)でのUSスチールの完全子会社化を発表していたが、米大統領選挙などで政治争点化していた。日本製鉄が多額の投資を行うことや、米国政府と国家安全保障協定を結ぶことなどで合意し、発表から1年半で完全子会社を実現した。
日本製鉄によると、同社は米政府との合意に基づき、ペンシルバニア州やインディアナ州、アーカンソー州、ミネソタ州、アラバマ州など USスチールの製造拠点全体で、110億ドルの大規模な設備投資を行う計画で、10万人超の雇用を維持、創出する。
このほか、USスチールが米国法人として存続し、本社をペンシルバニア州ピッツバーグに維持することや、USスチールの取締役の過半数は米国籍とすること、COEを含む中枢メンバーは米国籍とすることなどを取り決めている。
また、USスチールは米国市場の鉄鋼需要に応えられるよう、米国内の製造拠点での鉄鋼生産、供給能力を維持し、日本製鉄は、USスチールによる米国法に基づいた通商措置への妨害、禁止、干渉を行わない。
さらに、米国政府に「黄金株」と呼ばれる特別な権利を有する株1株を割り当てた。
黄金株の保有によって、米政府はUSスチールの独立取締役1人の選任権を有するほか、設備投資の削減やUSスチールの社名・本店所在地の変更、生産・雇用の海外移転、製造拠点の閉鎖・休止などを拒否できる。
日本製鉄は、これらの合意によって「USスチールは象徴的な社名とピッツバーグの本社を維持し、今後何世代にもわたって、米国において原料採掘から製品製造までを一貫して運営し続けることを確たるものとした」とした。
また、同社グループの年間粗鋼生産能力は8600万トンとなる見込みで「グローバル粗鋼生産能力1億トンとのグローバル戦略目標の実現に近づくことになる」としている。
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