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商事始め式で訓示

日本郵船・内藤社長「次の30年見据え中計遂行を」

2019年1月4日 (金)

▲内藤忠顕社長

ロジスティクス日本郵船は4日、東京都千代田区の本店で「商事始め式」を開催し、内藤忠顕社長があいさつ。今後の事業環境について「先が見通せない次の30年」と表現し、物流を中軸に据えながらも「いたずらに規模を追うだけでなく周辺事業やソフトウェアビジネスへの注力、ニッチ業務の開拓にも目を向ける必要がある」と話し、中期経営計画で掲げたステップを確認した。あいさつの要旨は次の通り。

■日本郵船・内藤忠顕社長のあいさつ要旨
1.過去の30年の振り返り(略)
2.次の30年の展望
国連は2017年時点の世界の人口76億人が30年後の2050年には98億人になると予測しており、アジア・アフリカの増加が著しく、なかでも3億人が増加するとされているインドは、中国を上回り世界で最多の国となる。気候変動は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による第5次評価報告の中位ケースの予測では1996年前後に比較し2050年前後には1-2度の気温上昇となり、世界各地での異常気象、北極海の海氷やサンゴ礁など水環境への悪影響、農作物への影響が不可避と言われている。また、ITやバイオテクノロジーなどの分野での進歩は著しく、我々の生活を一変する勢いがある。30年後には予想もしなかった世界が広がっている可能性もある。
このような先が見通せない次の30年を考えると、NYKグループの在り方をこれまでのものから大きく変える必要を感じている。社会や事業環境の変化に柔軟に対応すること、そのために、女性活躍やグローバル人事の推進などよりの多性促進を意識することが重要だ。物流が我々の主たる事業であることに変わりはないが、いたずらに規模を追うだけではなく、周辺事業やソフトウェアビジネスへの注力、ニッチ業務の開拓にも目を向ける必要がある。

3.2019年の展望
・中期経営計画の遂行
まず、我々のすべきことは、昨年3月に発表した中期経営計画Staying Ahead 2022 with Digitalization & Greenを遂行することだ。
最初のステップ「ポートフォリオの最適化」では、ドライバルク事業の抜本的見直しとコンテナ船事業統合会社(ONE)の成功を2つのキーとして挙げた。ドライバルク事業は、関係する皆さんの努力と市況の好転が相まって、着実な改善を見せている。コンテナ船事業統合会社は、残念なことに昨年10月に業績予想の大幅な修正を余儀なくされたが、改善への諸施策を着実に実行し、市場からの信頼回復につなげてもらいたい。
次に第二のステップ「運賃安定型事業の積み上げ」では、物流事業の強化、自動車船・自動車物流事業の強化とLNG・海洋事業の強化を掲げた。物流事業では、郵船ロジスティクスが、NYKグループの中核として、活躍・成長していくための取り組みが進んだ。自動車物流では、海外での完成車専用ターミナルの建設や完成車鉄道輸送事業会社設立を決定し、LNG・海洋事業では国内外の顧客とLNG船やシャトルタンカーの定期用船契約を新たに締結するなど、運賃安定型事業を着実に積み上げてきた。今後もこれらの成長促進事業と重点投資事業を中心に、安定的な収益構造を確立できるよう頑張ってもらいたい。

最後のステップ「効率化と新たな価値創出」では、中期経営計画のサブタイトルでもあるDigitalization & Greenへの取り組みを挙げている。昨年は、エンジンの燃焼室内診断ソフトウェアや機関事故を防ぐ燃料油の中の水分アラームなどの開発、船舶安全管理システムの25年ぶりの大幅な改定、船上キャッシュレスシステムの事業化検討など、我々の持つ技術をビジネスにつなげることを進めた1年だった。また5月には、資金の使途を環境改善効果のある事業に絞ったグリーンボンドを外航海運業界で世界で初めて発行し、我々の環境に対する取組姿勢をステークホルダーに認知してもらうよい機会になったと考えている。そして、11月に発表した環境コンセプトシップ「NYKスーパーエコシップ2050」は、我々の知見の結集だと同時に夢の結晶でもある。この船に採用した環境技術の開発と継続的な実船採用に今後も取り組み、企業価値・社会価値の持続的創出を目指そう。