事件・事故ヤマト運輸が物流施設の建設用地として購入した土地にアスベストが混じったコンクリート片が見つかったことを受け、購入先の荏原製作所に撤去費用などの負担を求めた損害賠償請求訴訟で、最高裁は1月29日、ヤマト、荏原製作所の両社による上告を棄却した。この判断に伴い、荏原製作所に59億5278万円の支払いを命じた東京高裁の判決が確定した。
問題の土地は、ヤマトが2007年12月25日に荏原製作所と売買契約を交わした東京都大田区羽田旭町の区画で、現在は「羽田クロノゲート」が稼働している。ヤマトは同施設の建設を進めていたが、荏原製作所が使用していた旧建物の解体工事が完了した後の11年1月、土地の表面と地中に、アスベストを含むスレート片が広い範囲にわたって数多く混入していたことが判明。
ヤマトは周辺住民や行政との協議を経てアスベストが混じったスレート片を全量撤去した上で「売買契約上の瑕疵に該当するもの」と判断し、荏原製作所に撤去費用の負担を求めたが、荏原製作所はその負担を拒絶。ヤマトは12年3月28日に東京地裁で損賠請求訴訟を起こした。
16年4月28日、東京地方裁判所は、ヤマト運輸の請求を一部認め、荏原製作所に対して56億1812万円などの支払いを命じたが、両社ともに控訴。18年6月28日には、東京高裁がヤマトの控訴部分の一部をさらに認め、荏原製作所に59億5278万円などの支払いを命じる判決を言い渡したものの、再び両社が判決を不服として最高裁に上告していた。
両社の上告を棄却した最高裁の判断を受け、荏原製作所は「18年12月期第1四半期までに全額計上済みであり、業績に与える影響はない」としている。