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羽田クロノゲートの土壌汚染で荏原製の瑕疵責任認定

東京地裁、ヤマトの主張認め荏原製に56億円支払い命令

2016年4月28日 (木)

事件・事故ヤマトホールディングスは28日、ヤマト運輸が荏原製作所から東京都大田区羽田の土地を購入する際、土壌に多く混入していた石綿(アスベスト)を含有するスレート片を撤去したことに関連し、荏原製作所に撤去費用85億509万5193円などの支払いを求めていた裁判で、東京地裁が同日、荏原製削除に56億1812万4016円の支払いを命じたと発表した。

ヤマト運輸は2007年12月25日、荏原製作所から現在、ヤマトの「羽田クロノゲート」が建つ羽田旭町の土地の購入契約を結んだが、旧建物の解体工事完了後、土地の表面や地中に、アスベストを含有するスレート片が広範囲にわたって多数混入してることが判明。周辺住民、行政と協議し、検討した結果、このスレート片を含む土壌を全量撤去。

同時に「混入は売買契約上の瑕疵に該当する」と判断し、荏原製作所に撤去関連の費用負担を求めたが、荏原製作所側が負担を拒絶したため、東京地裁に85億509万円(当初は73億8483万円)と遅延損害金の支払いを求める損害賠償請求訴訟を起こした。

一方、荏原製作所は「石綿含有スレート片は産業廃棄物に該当せず、土地売買契約の瑕疵担保責任を負わない」と主張。さらに、「物流ターミナル建設工事を請け負った建設会社が新たに土地に搬入した土砂にも石綿含有スレート片が混入していた」などと指摘し、全面的に争ってきた。

28日の判決で、東京地裁は「石綿含有スレート片の混入が土地の売買契約上の瑕疵に該当する」というヤマトの主張を認め、荏原製作所に対し、ヤマト運輸に56億1812万円と年6分の遅延損害金の支払いを命じる判決を下した。

判決に対し荏原製作所は「到底承服できるものではない。判決が確定すれば、東京都心、公園、校庭、宅地など近郊の相当数の土地の土砂を廃棄物として処理する必要が生じ、都市開発に多大な影響をもたらすことは必至で、ほかの建設現場や残土置き場の土砂を埋め戻し用の土砂として使用することが困難になる」と反論。「直ちに控訴する」意向を表明した。

ヤマトHDでは「判決内容を吟味し、適切に対応していく」としている。