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オーバーブッキング回避で荷主不安解消

マースク、積み込み保証のコンテナ予約システム稼働

2019年6月25日 (火)

サービス・商品デンマーク船社のマースクは25日、海上コンテナのオーバーブッキングを防止し、荷主に積載量を保証するオンラインブッキングサービス「マースクスポット」のベータ版を公開したと発表した。8月初めには、正式版として同社のウェブサイト「マースクドットコム」に実装する。

マースクスポットは、事前に固定価格で貨物の積み込み保証を荷主に提供するオンラインツールで、同社はこのサービスの提供により「業界全体に存在する根本的な非効率性に対処することで、顧客のサプライチェーンを簡素化するためのさらなる一歩を踏み出した」として、海上コンテナ輸送の課題として荷主を悩ませてきたオーバーブッキング(過剰予約)による「積み残し」などの改善につながるものと期待している。

同社によると、これまで「30%もの過剰予約(オーバーブッキング)が発生することも珍しくなかった」というが、荷主にとっては自社の貨物が本当に輸送されるのかがわからない、大きな不確定要素となっていた。

これに対し、マースクスポットでは「貨物を確実に積み込むための価格と条件を完全に可視化」することで、最終的に荷主がよりシンプルで信頼性の高い方法で貨物を輸送できるようにする。荷主はオンラインで24時間365日、料金を比較しながら検索することができ、これらの価格は予約が確認された時点で計算され、確定する。

記帳時に固定される「動的オンライン価格設定」により、見積もりから記帳確認まで顧客に対する取引が一元化され、購買プロセスを大幅に簡素化できるようになる。例えば、オンラインではない現在のブッキングプロセスでは、レート表から契約条件、追加料金などに至るまで、多くのやり取りと書類に基づく作業が必要で、最大13の個別ステップを実行することになる。一方、マースクスポットを使用する場合は、これらの「面倒なプロセス」をシンプルで統合された5つのステップにまで減らすことができるという。

顧客が予約を確認した時点で、マースクは積み込みを保証し、確実に輸送できる安心感を提供する。キャンセル時は顧客負担となるが、積荷が翌週、翌々週の船に回されるロールオーバーが発生した場合、マースクが補償する。

すでに毎週3000社を超える顧客に受け入れられており、4−6月期はすでに5万個以上の40フィートコンテナがマースクスポットによって予約された。

現在はまだベータ(テスト)サイトの公開にとどまっているマースクスポットだが、ラムコセメント社はすでにこのツールを活用している。同社は1-2週間前に予約をして毎週、カトゥパリ港から120-200個のコンテナをコロンボに送っており、これまでは「出荷が滞り、一部の顧客の信頼が失われたケースもあった」が、現在はマースクスポットを利用することで「顧客に実際に商品を提供できるかどうかわからないという不安がなくなる」と効果を実感している。