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船協、パナマ運河値上げ「即時撤回」求め意見書

2012年7月6日 (金)

ロジスティクス日本船主協会は6日、パナマ運河通航料金の値上げ提案に対する意見書をパナマ運河庁(ACP)に提出したと発表した。

 

意見書は、「ACPが4月に発表した通航料値上げ提案」の即時撤回、「長期的な運河通航料金ガイドライン案を示し、海運業界と十分な事前協議の実施を行うこと」などを内容とするもの。

 

意見書の概要
‐ACPが6月27日付で発表した修正提案は、当協会の要望事項に何ら回答するものではなく、当協会は同提案に対して深く失望している。

 

‐ACPのアレマン長官は2012年6月のJSA・ACP会談の中で、これまで年平均3.5%の通航料金値上げを行っていない旨発言したが、2006年以降の実際の通航料値上げ率はコンテナ船の場合年平均10.4%増となっており、年平均3.5%増の場合と比べて大幅に上回っている。ACPの継続的な通航料値上げによって2011年の通航料収入は1961百万ドルに達し、2006年からのわずか5年で146%増加している。

 

‐今回の通航料値上げ提案が実施されることとなれば、当協会会員会社の追加負担額(2012年から2025年)は76百万ドルとなり、更に運河拡張に伴う通航量の増加によってこの数字が増加することは疑いようもなく、邦船社に更なる財政的な負担を課すこととなる。

 

‐当協会は、同運河がパナマにとって最も重要な国有財産であることを十分認識しているものの、同運河が円滑な国際物流を維持・促進するため不可欠な役割を担っており、繰り返し行われる過度の通航料値上げが海運業界だけでなくエンドユーザーに対しても悪影響を及ぼすことをACPが考慮していないように思われる。

 

‐パナマ運河拡張に伴い通航量が増加する結果、通航料収入の増加が見込まれるため、現在の通航料水準のままでも、同拡張後数年で拡張工事費を十分賄うことが可能であると考える。そのため、ACPが継続的に通航量を上げる現在の料金政策は運河利用者に過大な負担を強いることになる。また、荷主からも同値上げについて理解が得られない。

 

‐当協会は、ACPが2012年4月の提案を即時撤回し、安定的、合理的かつ透明性のある長期的な料金ガイドライン案を示した上で海運業界と十分な事前協議することを要望する。更に、同ガイドラインの下、公式な通航料値上げ提案を行う前の段階で、運河利用者(荷主含む)との十分な協議を求める。その際、現行の海運業界との協議枠組みに加え、アジア海運団体との協議も望まれる。このような建設的な協議によって、ACPと運河利用者との間でwin-winの関係が構築されうる。

 

‐ACPが運河オペレーションについて業界との協議を求めていることについて、我々は喜んで参加する用意がある。綿密な対話を通じてより効率的なオペレーションが行われることで通航量が増加し、その結果、通航料が安定しうると考える。