ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

日本郵船、船上サイバー対策でDualog社と協力

2019年11月21日 (木)

M&A日本郵船は21日、ノルウェーの政府系ファンドの資金援助を受け、Dualog(デュアログ)社と共同で船舶向けサイバーリスク管理システムの開発プロジェクトを立ち上げた、と発表した。

「Cepa Shield」(セパ・シールド)と呼ばれる同プロジェクトは、海上のサイバーセキュリティー対策を強化するもので、政府系ファンド「Innovation Norway」(イノベーションノルウェー)からおよそ2500万円の資金援助を受ける。

日本郵船技術本部デジタライゼーショングループの鈴木英樹グループ長は、「昨今は海上でもサイバーアタックの脅威にどう対処していくかが喫緊の課題となっている。このプロジェクトは今後の海事産業の発展に影響を与えていくだろう」と話し、その意義を語った。

船舶の通信環境が飛躍的に向上し、船舶運航のデジタル化と陸海の通信接続が進んだ一方で、陸からウィルスやマルウェアといったサイバーアタックが船舶運航の脅威になっているという。例えば、運航に欠かせない計器類、エンジン制御システム、GPS情報などに障害が発生した場合、船舶はたちどころに運航不能に陥ってしまうことが考えられる。また、過去には港湾でコンテナ貨物の情報が悪意をもって書き換えられ、積み付け作業の混乱につながった例もあったという。

日本郵船グループでデジタル開発を担うMTI(東京都千代田区)の安藤英幸氏は、「プロジェクト名の『セパ・シールド』はタマネギに由来していて、タマネギのように多層的にセキュリティー対策を施す必要がある。デュアログ社と共同で、船の中にどのようなアクセス・アタックがあるのかを常時監視して対策を検討していく」と話した。

デュアログ社のモルテン・リンドオルセンCEOは、「日本郵船とは2017年から2年半にわたり同プロジェクトに向けたミーティングを重ねており、同社のイノベーション精神には感心している。今後のプロジェクト進行を楽しみにしている」と期待を込めた。

日本郵船は今後2年間で製品化すること目指し、まずはサイバーリスク管理システムのプロトタイプを同社運航の15隻に搭載し、順次50隻まで拡大させるという。

▲Dualog本社にあるモニタリングルーム(出所:日本郵船)