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日本郵船・商船三井など無人運航実用化へ実験開始

2020年6月12日 (金)

話題日本財団は12日、2025年までに無人運航船の実用化を目指す5つのコンソーシアムに対して総額34億円を助成するプロジェクトを開始すると発表した。三菱造船、丸紅、日本郵船傘下の日本海洋科学、商船三井、ITbookホールディングス(東京都中央区)――の5社がそれぞれ代表を務める5つのコンソーシアムは、21年度末までにカーフェリー、小型旅客船、コンテナ船、水陸両用車を使った実証実験を行う。

「MEGURI2040」と名付けられたこのプロジェクトは、無人運航船の普及を通じて(1)国内の物流革命を起こすこと(2)海運国日本の実力を世界に示すこと――を目指すもので、5つのコンソーシアムが行う実証実験はいずれも世界初の内容を含む。

日本財団の海野光行常務理事は、「フィンランドでは陸上からの遠隔操作実験が、シンガポールでは無人運航船の実験が既に進められており、日本は自動運航船の取り組みで世界に遅れをとっている。このままでは無人運航船の国際基準化・標準化の主導権を握れず、国際競争に劣後するおそれがある」とプロジェクト設立の背景を語った。

▲経済効果1兆円の内訳

今後は、2021年度までに既存航路で無人航行を実現、25年までに無人運航船を実用化、40年までに内航船の50%を無人運航船に切り替えることを目指す。これにより、40年には年間1兆円の経済的効果が得られるという。

同プロジェクトが支援する5つのコンソーシアムの概要は次の通り。

(1)スマートフェリーの開発
メンバー:三菱造船、新日本海フェリー
概要:敦賀―苫小牧間を航行する新造カーフェリーを用いて、離岸から航行・物標検知・避航・着岸に至るまでの操船自動化、機関室監視強化の技術開発、高度なセキュリティー技術を適用した陸上監視システムの開発――を行う

(2)小型観光旅客船の無人運航
メンバー:丸紅、トライアングル、三井E&S造船、横須賀市
概要:神奈川県横須賀市の三笠桟橋から猿島までの1.7キロの航路を用いて、自律制御モジュールを搭載した小型観光旅客船を航行させる

(3)交通量が多い海域でのコンテナ船無人運航
メンバー:日本海洋科学、イコーズ、ウェザーニューズ、EIZO、NTT、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、MTI、ジャパンハムワージ、ジャパンマリンユナイテッド、スカパーJSAT、東京計器、ナブテスコ、日本海運、日本郵船、日本無線、BEMAC、pluszero、古野電気、本田重工業、三菱総合研究所、横河電子機器
概要:京浜-苫小牧間のコンテナ船を用いて、離着桟・計画航路運航・避航の自動化だけでなく、陸上での監視・診断・結果の本船へのフィードバックといった支援機能や緊急時の遠隔操船を含む包括的なシステムの開発・実証を行う

(4)内航コンテナ船とカーフェリーの無人化
メンバー:商船三井、井本商運、井本船舶、MOLマリン、商船三井フェリー、セキド、古野電気、三井E&S造船
概要:敦賀-境港間のコンテナ船と大洗-苫小牧間のカーフェリーの2隻を用いて自動離着桟、自動操船、ドローンによる係船支援、拡張現実(AR)による陸上監視支援――の技術開発を行う

(5)水陸両用無人運転技術の開発
メンバー:ITbookホールディングス、エイビット、埼玉工業大学、長野原町、日本水陸両用車協会
概要:自動車の自動運転システムを改造した自動運航システムを開発し、水陸両用自動車に搭載、八ッ場ダムで離岸・航行・着岸・遠隔操作の実証を行う

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