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日本郵便が原付3輪導入、”郵政カブ”乗れる人少なく

2020年6月15日 (月)

ロジスティクス日本郵便は15日、配達用車両にホンダの原付3輪スクーター「ジャイロキャノピー」を試験導入すると発表した。

同車両は、3輪ならではの安定性から料理のデリバリーに多く使用されている車両で、スタンドを使用せずに駐車でき、雨が降ってもずぶ濡れにならず、2輪と比べて大型の荷室を搭載できるのが特徴。同社は「小型荷物の増加や、自動二輪車に乗務可能な配達員の確保が困難」という理由から6月に2台を導入し、8月以降も順次導入するという。

同社の配達用バイクは全国で8万5000台が走っているが、現在そのほとんどは、安価かつ長寿命で多くの郵便物を積めるよう専用開発されたホンダ・スーパーカブのMD(Mail Delivery)シリーズ、通称「郵政カブ」。同社はことし1月にホンダの電動バイク2000台を導入すると発表しているが、主力はスーパーカブであることに変わりない。

昨今は、その主力車両に乗れる人を十分に確保できないことから、原付3輪を導入するという。たしかにスーパーカブMDシリーズは排気量50ccから110ccまで用意されており、50cc以外は原付免許で乗れず、小型2輪免許が必要になる。しかし、主力の90ccの代わりに原付3輪を導入するのだとすれば、その代償は大きい。

▲スーパーカブ110プロ(出所:ホンダ)

MDシリーズは一般販売されていないため正確に比較することはできないが、配達業務用として一般販売されている「スーパーカブ110プロ」(110cc)の希望小売価格は30万2500円。対するジャイロキャノピー(50cc)の希望小売価格は52万3950円と、排気量は劣るのに価格は原付3輪の方が圧倒的に高い。スーパーカブが大量導入されていることを考えれば、実際には2倍かそれ以上の開きがあるだろう。

また、燃費性能はスーパーカブ110プロが1リットルあたり65キロ、スーパーカブ50プロ(50cc)が93キロであるのに対し、ジャイロキャノピーは54.5キロ。購入後もコスト増は避けられない。

ただ、EC市場の拡大による小型荷物の増加に対しては有効かもしれない。従来より大きな荷室に小型荷物を積載できるため、軽貨物車両とバイクの中間を担うことができる。また、一度にたくさんの郵便物を積載すれば、地域によっては効率的に配送することも可能だ。

同社がこの試験導入後どれくらいの規模で本格導入するのか、その台数次第では「小型貨物の増加」と「バイクに乗れる人が少なくなった」という課題の大きさが量れるかもしれない。