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玉井商船の財務状況に黄信号、立て直しへ資産売却

2020年6月25日 (木)

財務・人事玉井商船は25日、当初予定から1か月以上遅れて2020年3月期の連結決算を発表し、7億700万円の最終損失を計上したことを明らかにした。同社は、有利子負債が手元資金と営業キャッシュフローに対して高水準な状態となったため、決算短信で「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況」を説明する事態となった。

20年3月期末の負債額が前期末から4億8800万円増えて71億5100万円となったのに対し、純資産は前期末より8億4800万円少ない45億7900万円に減少した。

こうした財務状況が一部借入金の「財務制限条項」に抵触したが、金融機関からは元本返済の猶予、新たな運転資金の借り入れの承諾を得ているという。

今後は主要設備の5隻の外航船舶を中心に、売上の多くを占める南米から日本への水酸化アルミニウム輸送や、北米から日本への穀物輸送の採算を改善するため、数量積輸送契約などを長期的・安定的に確保する営業施策に取り組むほか、船舶の維持管理に必要な経費支出の見直しや乗組員の効率的な配乗を進め、役員報酬もさらに削減する。

資金繰り面では、これらの施策に加えて一部船舶を含む資産売却を進め、売却代金で船舶建造のための借入金残高を繰り上げ返済し、併せて担保資産を解除することで、手元資金を確保したい考え。金融機関から返却される有価証券や不動産などの担保資産を含めて、さらなる資産売却を検討していく。

20年3月期の連結決算は、売上高が前期比6%減の51億5600万円、経常損益は前期2億100万円の利益から一転、3億1900万円の損失となり、最終損益は7億700万円の損失(前期8億8800万円の利益)だった。

21年3月期は、営業施策とコスト削減策で財務状況の改善を図り、売上高47億円(8.8%減)、経常損益4000万円の損失、最終損益1億9000万円の利益を目指す。