ロジスティクスフィジカルインターネットセンター(JPIC)は12日、「第2回CLO協議会」を開催、いよいよ来年4月に迫る特定荷主事業者のCLO(物流統括管理者)選任義務化に向けたJPICの取り組み、国土交通省、経済産業省からは関連法令のポイント解説や、パネルディスカッションを通して議論を深めた。
JPIC森隆行理事長は冒頭、CLOの定義や役割、職能などを明確にしてきた同センターの取り組みを紹介、協議会方針としてCLOのカウンターパートとしてのLPD(ロジスティクス・プロデューサー)を提唱し、荷主企業だけではなく物流事業者やサービスプロバイダーなどが連携したネットワーク構築を通じて、フィジカルインターネット(PI)実現を目指すことが語られた。
国土交通省貨物流通事業課の堤大地氏は、トラック適正化2法において、特に貨物自動車運送事業法の一部改正における「許可更新制度の導入」「適正原価を下回る運賃・料金の制限」「委託次数の制限」「白トラに係る荷主の取り締まり」などの要点や意義を解説した。委託次数の制限、白トラに係る荷主の取り締まりなどは来年4月1日の施行、許可更新制度、適正原価の順守義務は2028年6月までに施行予定などのスケジュールも確認され、「これまでとは1段階ギアをあげた」(堤氏)制度への準備を呼びかけた。
経済産業省物流企画室の新井和樹氏は、法改正で求められる荷主事業者の取り組み事項について説明。特定荷主の指定にかかる届け出の様式や段取り、「中長期計画」「定期報告」の記載例イメージなどより実務的な情報を共有した。特に法改正は「発荷主だけではなく着荷主も対象となっていることが焦点」(新井氏)と強調、発領域と着領域に分けてそれぞれの取り扱い貨物重量を算定して指定の届け出を行うこと(ただし、同一企業内では発・着ともに指定基準9万トンを超えても選任するCLOは1人)などが注意事項として確認。特定荷主該当企業には来年4月の届け出および10月までとなる計画書提出の備えを呼びかけた。

パネルディスカッションでは、法改正を目前に控えすべての企業の取り組み姿勢が問われることから、CLOとLPDそれぞれを担うべき立場として、荷主側からは三菱ケミカルの楠本匡物流本部長、ゴディバジャパン(東京都港区)の梶原博文サプライチェーン部部長代理、物流・サービスプロバイダー側からは野々市運輸機工(金沢市)の吉田章社長、ITシステム開発のチームソリューション(品川区)の堀畑浩重社長が参加、ファシリテーターを本誌LOGISTICS TODAYの赤澤裕介社長兼編集長が務めた。
個社取り組みの限界、法改正対応から「連携」というキーワードが注目されるが、化学メーカー、チョコレート輸入・販売事業、地方運送業、倉庫事業基盤の効率化システム開発など、業界ごとの問題点も多岐にわたり、それぞれの構造的課題も浮き彫りになった。荷主サイドからは互いに胸襟を開いて話し合う場をどう作ればよいかが問いかけられる一方、物流サイド、特に中小運送事業ではそれに対応する投資力・提案力も発揮できない現状がある。実際の現場連携、相互理解の成功事例では、お互いの信頼などの人間関係が基盤となる状況から、まずはCLOがハブとなりサプライチェーンの議論の場ができていくだけでも大きな前進となるのではとの意見もあった。
パレットなどを含む標準化においてもそれぞれの“現場事情”がボトルネックとなっており、荷主としてはまず現場を知ることの重要性も語られた。着荷主としての振る舞いを見直すことでサプライチェーン全体が見えてくることなども話し合われ、法対応に向けた体制整備だけではなく、物流改革を企業成長につなげていく姿勢でCLO、LPDが機能していく必要があると指摘された。
なお、JPICは現在、自社のPI取り組み状況を自己評価できる指標としてPIの実装度合いを評価するPIMM(Physical Internet Maturity Model)の策定を進めており、来年2月の公開を予定している。また、現在募集中の「フィジカルインターネットアワード2026」に関しても、同じく2月に開催される「フィジカルインターネットシンポジウム2026」で表彰式を行う予定であり、PIの社会実装へ向けた取り組みを加速させる姿勢だ。
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