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ウェザーニューズ調べ

北極海航路、ロシア側で海氷融解早まる見込み

2020年6月29日 (月)

国際ウェザーニューズ(千葉市美浜区)は29日、同社グローバルアイスセンターが調べた2020年の北極海の海氷傾向を発表した。6月20日にシベリア北部ベルホヤンスクで観測史上最高の38度が記録されるなど、ことしはシベリア周辺で異例の高温が続いているため、今後北東航路(ロシア側)周辺の海氷融解が早く進むことが予想されているが、現状は平年並みのペースで融解が進行している。今夏の北極海航路の開通は、北東航路(ロシア側)が昨年から1週間程度早い8月中旬、北西航路は9月中旬となる見込みだという。

近年は北極海で生産された液化天然ガスをLNG船で輸送する動きが活発になるなど、北極海航路の利用が進んでいて、同社も独自の超小型衛星「WNISAT-1R」の観測結果を既存の衛星画像と組み合わせ、観測データが少ない北極海の海氷分布をより正確に把握することで、「今夏も船舶の安全運航を支援していく」としている。

北極海の海氷域面積は例年、冬季の2月から3月にかけて年間最大、夏季の9月に年間最小となる。ことしは3月に年間最大を記録し、海氷域面積は2015年以降では最大となる1440万平方キロ程度となった。

海氷は現在、融解による減少期に入り、6月27日時点の面積は924万平方キロとなっている。今後も夏にかけて融解が急速に進み、9月中頃には海氷域面積がことし最小の423万平方キロまで減少する見込み。1979年の観測開始以来5番目に小さい面積となる。

▲6月27日時点の北極海の海氷分布と2020年の予想開通期間(赤・黄)(出所:ウェザーニューズ)

海域別では現在、北東・北西の両航路の沿岸でそれぞれ海氷の融解が進行している。ベーリング海とつながるチュクチ海では5月から海水面が現れ始め、北東航路上のカラ海では融解が例年以上の早さで進行。同社では、「隣接するシベリアが顕著な高温傾向にあることと関連している」と分析している。

北東航路の開通は、シベリア沿岸域の気温が高いことが影響し、昨年の8月20日よりやや早い8月中旬から10月上旬まで、北西航路は、カナダ多島海の海氷が融解し、9月中旬に開通する見込み。