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ウェザーニューズ調べ

北極海航路、カナダ側で異例の融解速度

2019年6月28日 (金)

話題ウェザーニューズ(千葉市美浜区)は6月28日、同社グローバルアイスセンターが調べた2019年の北極海の海氷傾向を発表した。北西航路(カナダ側)に位置するビューフォート海沿岸域で海氷の融解が異例の速さで進んでいるものの、北極海全体としては平年並みのペース。今夏の北極海航路の開通は、北東航路(ロシア側)が昨年から1週間程度早い8月中旬、北西航路は9月上旬となる見込みだという。

近年は北極海で生産された液化天然ガスをLNG船で輸送する動きが活発になるなど、北極海航路の利用が進んでいて、同社も独自の超小型衛星「WNISAT-1R」の観測結果を既存の衛星画像と組み合わせ、観測データが少ない北極海の海氷分布をより正確に把握することで、「今夏も船舶の安全運航を支援していく」としている。

北極海の海氷域面積は例年、冬季の2月から3月にかけて年間最大、夏季の9月に年間最小となる。ことしは3月に年間最大を記録し、海氷域面積は昨年の同時期よりやや大きい1400万平方キロ程度となった。

海氷は現在、融解による減少期に入り、6月28日時点の面積は2010年代に入って平均的な940万平方キロとなっている。今後も夏にかけて融解が急速に進み、9月中頃には海氷域面積はことし最小の440万平方キロまで減少する見込み。昨年の海氷域面積をわずかに下回り、1979年の観測開始以来6番目に小さい面積になるとみられる。

海域別では現在、北西航路の一部であるビューフォート海沿岸域で融解が異例の早さで進み、アラスカ北岸に沿ってすでにほぼ海水面が開けた状況になっている。北東航路も、中ほどにあるラプテフ海で例年を上回る速度で進んでいるが、東シベリア海はいまだ全面結氷している。ただこうした状況について同社は「海氷の流動は大きく、それほど厚くないことがうかがえる」と分析した。

今後、北東航路側ではラプテフ海、東シベリア海の海氷が8月中旬のうちに後退することで、前年から一週間程度早く開通する見通しで、北西航路側では広い範囲で結氷しているカナダ多島海の海氷が融解することによって、9月に開通すると予測している。