ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

事業者・行政の対策検証も、自動車事故調が活動総括

2020年8月28日 (金)

行政・団体国土交通省は28日、事業用自動車事故調査委員会(自動車事故調)が2014年6月の発足から19年7月までの5年間の活動について「事業用自動車による事故の防止対策推進に一定の役割を果たしてきた」などと総括したことを発表した。

自動車事故調が5年間に調査・分析結果とこれらに基づく再発防止策を提言する報告書の形で公表した事故は37件。このうち「特に社会的影響が大きく、科学的、専門的見地からの検証が必要なもの」として8件を特別重要調査対象事故に選定し、残る29件を重要調査対象事故として報告書をまとめてきた。

総括ではこれらの取り組みを振り返り「運行管理不適、教育・指導不足、速度超過など、重大事故全体共通する要因」が確認されたこと、(1)過労運転による居眠り事故(2)体調急変や体調不良による事故(3)前方不注意(脇見運転)による事故(4)速度超過状態で走行するセミトレーラの横転事故(5)周囲の上位鏡や積み荷に合わせた適切な運転操作ができなかったため発生した事故――と、5つの類型に分類されることを指摘。

これまでの活動に対する自己評価として「幅広い見地から、可能な限り網羅的に再発防止策を示すことで、自動車運送事業者に対し、さまざまな視点からの安全対策の実施を可能としてきた」とする一方、「網羅的な再発防止策の提言は、事業者が優先的に講じるべき対策がわかりにくくなるなどの意見がある」として、今後は網羅的な再発防止策の提言にこだわらず「メリハリを利かせた提言」を行うほか、再発防止策の内容を「事業者にとってわかりやすく、実践的なもの」としていく考えを示した。

今後の活動については、「調査、分析にあたっては、事故当事者の口述が中心となることに変わりはない」とした上で、必要に応じて業界団体、同業他社など事故当事者以外の幅広い関係者にも調査を行い、実証実験によって当時の運行状況の再現、事故関連機器の作動状況の確認などを分析し、「客観的で質の高い再発防止策につなげる」との方針を打ち出した。

また、自動車運送事業関係者や行政機関が、自動車事故調による再発防止策の提言を踏まえた十分な対策をとっているかを改めて検証し、「必要に応じて、新たな施策の検討を進めていく」ことを求めた。