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SGHD、日立物流株売却し「関係会社」外れる

2020年9月25日 (金)

話題SGホールディングスとの提携見直しに踏み切った日立物流は25日、自己株式立会外買付取引(※)により、前日に公表した内容に沿って発行総数の24.8%に相当する同社株式を988億円で取得した。

この取引のうち697億円がSGHDによるもので、日立物流の株式に対する同社の持分比率は29.1%から15.3%へと低下し、SGは日立物流の関係会社から外れた。取引完了を受け、SGは「継続保有」を明言するとともに、提携関係についても「今後も継続し、両社でさらなる協業を強化し業績拡大を目指す」とコメントしている。

※自己株式立会外買付取引=発行会社に取得者を限定した自己株式を取得するための専用取引。

日立物流とSGHDの提携見直し、「解消」「継続」正しいのは…

SGが日立物流の株式を売却したこの取引は、2016年から4年にわたる両社の資本業務提携関係が大幅に見直され、転機を迎えたことを示すもので、日立物流も保有する佐川急便株20%をSGに875億円で売却することになっている。

両社は「提携関係の解消」ではなく「提携内容の見直し」であることを主張しているが、実質的には「解消に近い見直し」だと捉えるのが自然だ。

ただそれが「提携解消」「継続」「見直し」のいずれに解釈されたとしても、両社が提携開始時に志した「3PLとデリバリーを融合させた次世代物流」の意義が失われることがあってはならない。

事実、シンガポールで運営される建設機械パーツセンター、愛知県で行われている化粧品会社向けの倉庫運営といったいくつかの協業プロジェクトについては「現場レベルで協業関係が浸透している」(日立物流)として、今後もパートナーが他社に変わることは想定されていない。

当然ながら「何も変わらない」というのも事実と異なる。

両社が取り組んできたプロジェクトの中には「次世代ビジネスモデル」として、デリバリーと3PLというそれぞれの強みを組み合わせた「次世代一体型センター」構想や、車両・拠点のシェアリングといった「検証事業」がある。

これらの検証過程で得られた課題や成果を実運用に移していく上では、パートナーを両社のみに限定することなく、ケースバイケースで最適なパートナーを選んでいくことになるだろう。

「結婚を目的とした結婚」ではなく、互いの「幸せ」を望んで一度は資本関係を結んだ両社のこと。自由度を増した両社の新たなチャレンジの中に「4年間の痕跡」が見つけられることも出てくるのでは、と期待している。