行政・団体国土交通省は13日、運転者の脳疾患や心臓疾患、意識喪失によって引き起こされる健康起因事故が増加傾向にあるとして、事業者が運転者の健康状態を把握するなどの予防措置を講じずに重大事故を引き起こした場合に適用される新たな行政処分基準を設ける方針を固めた。3月14日まで意見を公募し、3月中に通達を発出、4月1日付の施行を目指す。
道路運送法と貨物自動車運送事業法では、「事業者は、事業用自動車の運転者が疾病により安全な運転ができないおそれがある状態で事業用自動車を運転することを防止するために必要な医学的知見に基づく措置を講じなければならない」とされているが、国交省は「必ずしも順守されていない事例がある」と認識。順守していない事業者が重大事故を起こした場合に、初違反で延べ40日、再違反で延べ80日の車両停止処分を行う。違反点数はそれぞれ4点、8点。
具体的には、事故発生日から過去1年以内に法定の健康診断を受診させずに乗務させていた場合や、健康診断で再検査の指示があったにもかかわらず、検査を受けずに乗務させていた場合などに適用する。
これまでは、あきらかに疾病や疲労を抱えているのが分かっていながら乗務させていた場合に、初違反で延べ80日、再違反で延べ160日の車両停止とする基準があったものの、健康診断未受診の運転手が行う「疾病、疲労等のおそれのある乗務」に関しては、未受診者の数に応じて車両停止の日数が定められていた。新たな基準が設けられることで、たとえ未受診者が1人であっても、その運転手が重大事故を引き起こせば、未受診者3人以上と同等の行政処分が行われることとなる。