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ラサールロジ投資法人、尼崎に危険物倉庫増築

2021年2月17日 (水)

拠点・施設ラサールロジポート投資法人は15日、資産運用を委託するラサールREITアドバイザーズが、同投資法人の保有資産である兵庫県尼崎市の物流施設「ロジポート尼崎」について、敷地内における危険物倉庫の建設を決定したと発表した。コロナ禍におけるアルコール消毒剤などニーズ拡大を受けた危険物倉庫の需要増に対応するとともに、容積率未消化部分を活用することで、収益力と資産価値の向上をめざすとしている。

新倉庫の名称は「ロジポート尼崎 東危険物倉庫」で、面積は998.4平方メートル。自己資金で取得し、予定価格は4億5700万円、引渡予定日は今年9月下旬とする。NOI利回りは13.7%で、償却後NOI利回りは10.7%。三和建設が施工する。

需要旺盛な危険物取扱倉庫

昨年の「兵機海運取材レポート/その仕事港湾でもできますよ」でも記したが、神戸港湾エリアをはじめとする危険物取扱倉庫の需要は堅調だ。

「その仕事、港湾でもできますよ」連載第1回(20年7月14日掲載)
https://www.logi-today.com/386662

関西では、あきらかに不足している神戸港湾部をはじめ、阪神港エリアでは施設の老朽化による建て替えや、今回着工発表された尼崎案件のような新設もまだ続くものと予測される。内陸部の新設普通倉庫が一定以上の床面積供給を確定させようとしている昨今、湾岸部での特殊倉庫や機能特化型倉庫の増加は順当な傾向となるはずだ。

全体としては供給過多に陥る可能性が不可避となっている倉庫建屋事情。そのなかにあって、所在エリアの特性に応じた機能追及を差別化の前面に押し出す戦略は正攻法であり、需給の安定化にも寄与する。

さらには、港湾部の既存事業者が庫内作業の守備範囲を拡大することで、現在分散している物流ルートが一本化できる――という荷主視点での考察は先への期待を膨らませてくれるだろう。

行政との調整と連動による積極的な商機増大の契機。危険物取扱倉庫の新設には、付加できるいくつかの価値を想像させてくれる。(企画編集委員・永田利紀)