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アズープ、業種特化型の配車支援AI開発へ

2021年3月2日 (火)

話題トラック1台ごとのコストを見える化する。これをキーフレーズにしたクラウド型車両管理システムとして、「トラッカーズマネージャー」がリリースされてから1年が経過した。開発元のAzoop(アズープ、東京都世田谷区)は、物流業界の大多数を占める中小運送会社の声に耳を傾け、この1年で車両資産管理から人的資産管理、運送業務支援まで機能を拡張。アズープの朴貴頌社長に話を聞くと、「当初予定より機能を充実させて開発を進めている。9月までに登録台数1万台を目指す」と目標を語った。

▲アズープの朴貴頌社長(出所:同社HP)

朴社長は2010年にリクルートに入社。15年に家業の中古トラック専門商社に入社後、17年に商用車のオンライン売買サービス「トラッカーズマーケット」を提供するアズープを設立した。トラッカーズマーケットは、トラックやトレーラー、フォークリフトなどの商用車売買をオンライン上で完結する仕組みで、従来の流通経路にかかっていた時間とコストを削減。「売り手が高く売れ、買い手が安く買える」サービスとして、幅広い車種を取り扱っている。

こうした車両売買で培った専門知識を生かし、運送会社の車両資産管理を支援するサービスとして20年3月にリリースしたのがトラッカーズマネージャーだ。当時、Logistics Todayの取材に対し朴社長は、「車両の使用開始から売却まで、車両資産を最大化することをコンセプトにツールの開発を行った。将来的には、全車両の登録情報から次年度の車両運用経費を予測し、予算組み立てに活用してもらうことや、中古車売買サイトとの連携で車両資産価値を自動計算して車両更新のアドバイスを行うことも考えている」と話していたが、こうした構想を実現する人工知能の開発も順調に進んでいるという。

トラッカーズマネージャーの車両管理機能を用いて車両の基本情報と整備・修理記録などを紐付けると、トラック1台あたりのコスト計算ができるようになり、運賃交渉の材料となる「原価」を割り出すことができる。また、最終的に中古車売買市場でも高額売却につながり、使用履歴や整備記録がはっきりとしている車両は、そうでないものと比べて10万円~20万円ほど高く売れるという。同社では、車両の調達と売却をトラッカーズマーケットで支援し、保有期間中の車両管理をトラッカーズマネージャーで支援することで、「車両資産の最大化」を実現する。

(出所:アズープ)

一方で、アズープはトラッカーズマネージャーに「ドライバー管理」「配車計画」「請求書発行」「入力作業代行」などの機能を次々に追加してきた。これらの機能の一部は当初の開発計画に含まれていなかったが、導入支援を通じて運送会社とコミュニケーションをとる中で、「こうした機能があったら助かる」という声を受け、新たに開発したという。

朴社長は、「物流テックは荷主寄りのものが多く、運送会社の不満も多い。運送会社に寄り添って課題を解決していきたい」と背景を語る。

同社は今後もこうした業務支援機能を発展させていく方針で、人工知能を用いて配車計画やドライバーのシフト表を作成する機能を開発中。配車計画機能は、運送会社の協力を得て「海コン」や「産廃」などのカテゴリーごとにデータを蓄積し、業種に特化した立案機能を幅広く展開していくという。

■トラッカーズマネージャーのサービスHP
https://manager.trck.jp/