環境・CSR体格の差や育児との両立、地域ごとの厳しい作業環境など、現場に潜む「小さな違和感」を個人の我慢で終わらせない仕組みが物流現場を変える。車両輸送大手のゼロが進める「乗務員向上対策委員会」は、女性ドライバーならではの視点を吸い上げ、具体的な設備改善やキャリア形成に直結させている。
現場の戸惑いを言葉に変えて次の改善へとつなげる同社の取り組みは、多様な人材が定着するための有効な差別化戦略として、業界内で存在感を放つ。

▲ゼロの乗務員向上対策委員会の様子(出所:ゼロ)
同社は、乗務員同士が悩みや課題を共有し、働き方や制度の改善につなげる同委員会の第6回会合を福岡市で実施した。これまでは本社のある関東地域を中心に開催してきたが、地方のドライバーが参加しやすい体制を整えるため、初の地方開催として福岡を選定した。当日は北から南まで全国から20人の女性キャリアカードライバーが集結し、それぞれの「いま」を率直に語り合った。
同委員会は、現在ではドライバー全体の環境や業務をより良くすることを目的に、年1回の開催を継続している。これまでの議論に基づき、キャリアカー運転席へのカーテン設置や、手の小さな乗務員でも使いやすい小型サイズの革手袋の導入、男女共用トイレの見直しなど、着実な成果を上げている。
設備面の向上だけでなく、仲間が頑張る姿を見て「2台積み」から「6台積みトレーラー」へとステップアップを果たすメンバーが出るなど、モチベーションを高め合う横のつながりも強固だ。
今回の会合では、荷積みの際に背の低い人が苦労する箇所への対応や、メーカーごとに異なる車両の操作性について具体的なエピソードが共有された。特に東北地方など雪国で働くドライバーからは、冬季特有の過酷な作業実態が語られ、雪の少ない地域の参加者にとっても、自分たちの「当たり前」を見つめ直すきっかけとなった。現場ごとに置かれている条件が異なる現実を、言葉にして共有する重要性が改めて浮き彫りとなった。
キャリア形成についても議論が及び、育休や託児環境、昇格に伴う責任への向き合い方がテーマとなった。郡山カスタマーサービスセンターの井上センター長が登壇し、女性管理職としての経験や部下への向き合い方を共有した。後輩の指導を担うドライバーや、これから役割を広げていくメンバーたちが、真剣な表情で耳を傾ける姿が目立った。
参加者の一人で、本委員会の発起人でもある大阪カスタマーサービスセンターの森下ドライバーは、アルバイトから始めて憧れのトレーラー乗務を叶えた経歴を持つ。同氏は「女性だからと諦めなくていい環境をつくりたい」と意気込みを語った。また、元バレリーナという異色の経歴を持つ名古屋カスタマーサービスセンターの青木ドライバーは、ドライバーコンテストの積載部門で準優勝するほどの実力を備える。同氏は「ドライバーは女性でも十分に活躍できる。もっと多くの女性に挑戦してほしい」と呼びかけた。

▲(左から)ゼロの森下ドライバー、青木ドライバー(出所:ゼロ)
運営事務局は、現場とバックオフィスが一体となって同じ温度感で意見交換できる環境を「ゼロらしさ」と定義する。今回出された貴重な意見は、人事部や安全衛生管理部などの所管部署で速やかに対応を検討し、改善や周知に向けて動く方針だ。現場から始まる改善の歩みを止めることなく、一人ひとりの人生と覚悟に寄り添った職場づくりを加速させていく。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。



















