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欧州発の物流先進事例

コード読取精度高め定時配送の危機脱却、解決策は

2021年7月6日 (火)

話題物流センターに入ると、さまざまな形の荷物が次々とコンベア上を移動していく。荷物は、まるで自分で行き先を知っているかのように、分岐点でそれぞれの目的地を選びながら、トラックに積まれていく。なかには、行き先にたどり着けずに再度、コンベアの旅を続けるものもある。

これらの荷物は、どうやって自らの行き先を知るのだろうか。何に導かれて、スムーズにコンベア上を走り抜けるのだろうか。荷物をいかに正しい道に「導く」仕組み、それを手がける企業が米国にある。彼らは、欧米や中国の物流現場で、荷物を適正に仕分けて業務を効率化する仕事で成功を収め、いよいよ日本の物流業界で、その力を試そうとしているーー。

課題はバーコード判読能力の向上

工場内で作業中の男性従業員の頭上に延びるベルトコンベアを、高速で次々と駆け抜けていく新聞紙。折り目に沿って空中のベルトコンベアに固定された新聞は、配送エリアごとに束ねてプラスチックホイルで梱包され、次々とトラックで運ばれていく。

ドイツ北部、エルベ川沿いに広がる港湾都市・ハンブルク。この新聞印刷工場では、あるシステムの導入により、長年の課題だった配送スピード向上と誤配の解消を実現することができた。この工場では、具体的な地点など配送に必要な情報を記録したバーコードを、束ねた新聞の上に重ねて、プラスチックホイルを被せて配送している。つまり、バーコードを読み取る能力こそが、迅速で正確な配送の成否を握っているというわけだ。

包装された新聞紙の上に印字されたバーコード。その判読能力が迅速な配送のカギを握る

配送はまずまずの確度でできているものの、ある一定の水準を超えることができず、課題となっていた。しかも、年々精度は低下する傾向にあり、発送業務に決定的な支障が出かねない恐れも予測されていた。工場内で原因究明チームが編成され、新聞の印刷から梱包、発送までの作業を調査した結果、明確な原因が明らかになった。バーコードを読み取る工程に不備が出ていたのだ。

解決すべき課題は2点。一つはバーコードを判読するレーザースキャナーの劣化だ。ミラーやその他の可動部品が長年の駆動で摩耗し、交換部品の調達も困難な状況だった。もう一つが、バーコードの読み取り能力だ。しかし、課題は見つかったものの、工場担当者の表情はさえない。「コストもかかるし、そもそもバーコードの判読精度を確保できるシステムなんて存在するのか?」。

頭を抱える担当者を喜ばせることに成功したのが、まさにコグネックスコーポレーションのバーコードリーダーだった。