調査・データ帝国データバンク(TDB)は6日、人手不足による倒産のうち、従業員の退職を要因とした人手不足が原因の「従業員退職型」倒産が今年に入って急増し、1月から7月までの集計で74件に達したと発表した。前年同期(46件)の1.6倍で、通年では100件を超える可能性が高いとしている。「運輸・通信業」も過去最多の件数となった。
同社のまとめによると、1-7月の従業員退職型倒産を業種別にみると、最も多いのが「サービス業」の19件で全体の25.7%を占めた。人手不足の状態が慢性化しているソフトウェア開発などIT産業のほか、映像制作などの業界が目立った。
今年1月に破産したシステム開発のピーシーネット(東京都千代田区)は、小規模な運営の中、エンジニアの引き抜きや人材流出などに直面して収益性が低下し、最終的に事業継続を断念した。
次いで多いのが「建設業」の17件で、設計者や施工監理者など、業務遂行に不可欠な資格を持つ社員のほか、営業担当役員など幹部社員の退職で、事業運営が困難になった企業などが目立った。
今年5月に破産した建売住宅販売のクレセントホーム(佐賀市)では、社長交代後に幹部社員が相次ぎ退職し、営業力や施工力が低下したことが破産の引き金となった。
トラック輸送を中心とした「運輸・通信業」のほか、「製造業」「卸売業」でも、1-7月の累計が過去最多となった。
また、4月に破産した不動産仲介のウィルプライズ(東京都大田区)は、業績悪化で給与引き下げを実施した結果、従業員の退職が続き事業継続が困難となった。
TDBでは「賃上げによって良い人材を高給で確保する動きが広がるなか、待遇改善をしないことによる人材流出リスクが中小企業を中心に高まっている」と指摘。賃上げしたくても業績悪化などを理由に賃上げできない企業も多く、「今後、従業員に対し十分な報酬を支払う余力のない中小零細企業の淘汰が表面化する可能性がある」としている。
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