国内鴻池運輸は8月31日、機械メーカーのタジマ(東京都大田区)と共同開発した「落鉱回収装置」に関する特許を取得したと発表した。地面からの高さが限定された空間や狭所に落下した鉱石を回収する。既に鴻池運輸が請け負う、日本製鉄の東日本製鉄所鹿島地区内の作業場で実際の運用を開始している。
落鉱回収は、ベルトコンベアで搬送される鉱石などの原料が落下して積み重なることで生じる、コンベアの稼働への支障を防ぐ目的で行う。製鉄所内の操業の維持に不可欠な作業だ。
鴻池運輸は現在の日本製鉄が所有する製鉄所内で100年以上にわたり、原料受入や製造、検査・梱包、配送など多くの業務を請け負う。東日本製鉄所の鹿島地区内でもベルトコンベア下の落鉱回収を行っているが、人手による作業は難易度が高く、作業者への負担も大きいことに加えて、時間も要していた。
そこで鴻池運輸は、2018年からタジマと落鉱回収装置の共同開発に着手。高さが限られた空間で、重い落鉱をかき出せる装置の開発は容易ではなかったが、試作を重ねた結果、安定した作業が行える装置の完成に至った。無線のリモコンで操作できる仕様としたことで、安全性も確保した。
落鉱回収装置は本体とアーム、落鉱をかき出すバケットで構成。今後は外販も視野に入れて改良を重ねるほか、特許技術の類似装置への展開も検討する。