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世界の医薬品低温物流市場は2033年に90億ドル規模

2025年8月1日 (金)

調査・データ米市場調査会社のパノラマデータインサイトは1日、世界の医薬品向けコールドチェーン(低温物流)市場は、2024年に64億2000万ドルとなり、33年には89億9000万ドル規模に達するとのレポートを公表した。この間の年平均成長率(CAGR)は3.83%で、安定した成長が見込まれる。

世界各国では、医薬品物流に関する規制が強化されており、コールドチェーン市場にとって、市場拡大のチャンスを迎えている。

日本市場でも、高齢化社会の進行とともに慢性疾患やがん、希少疾病の治療薬への需要が増えており、こうした医薬品を適切に温度管理しながら輸送する物流体制が急速に整備されている。日本の製薬企業は厳格なGMP(医薬品適正製造基準)やGDP(医薬品適正流通基準)を順守し、物流会社でもこれらに適応する高度な冷蔵・冷凍設備のほか、AI温度監視システム、ブロックチェーンによるトレーサビリティ強化といった次世代技術の導入を進めている。特にワクチン輸送では、マイナス70度の超低温管理が求められるケースもあり、サプライチェーン全体で技術革新が進展している。

主な技術革新としては、IoTや5Gの普及が、コールドチェーンの管理精度を飛躍的に向上させている。最新の温度センサー付きパッケージングやリアルタイムトラッキングシステムは、温度の変化を即座に検知し、自動で対応できる機能を持っている。日本のロジスティクス企業は、グローバル標準のセンサーやクラウドベースの統合管理プラットフォームを積極的に採用し、国内外の製薬会社との連携を強化している。これによって、温度管理の信頼性がさらに高まり、製品の廃棄リスク削減にも寄与している。

また、地球温暖化対策やESG経営への注目が高まる中、コールドチェーン市場でも省エネ・環境対応技術の導入が加速してる。再利用可能な冷却材、エネルギー効率の高い保冷車両、太陽光電力による冷蔵施設など、環境配慮型の機器や設備の開発は企業の差別化を図る要素となっている。

地域別に見ると、アジア太平洋地域では、中国やインド、韓国といった新興市場が著しい成長を遂げており、日本企業にとっては、これらの地域との連携が今後のビジネス拡大のカギとなる。特に国際共同治験やバイオ医薬品の輸出入で、品質一貫性と安定供給を保証する物流体制が求められている。

同社は「日本の物流企業は、海外倉庫ネットワークや温度管理機能付き空輸サービスを拡充し、成長するアジア市場でのシェア獲得を図る姿勢を強めている。厳格な低温管理を必要とする医薬品のグローバルサプライ網での日本の存在感は一層高まる見通しだ」としている。

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