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丸和運輸機関とANAカーゴが提携し新事業創出へ

2021年9月1日 (水)

ロジスティクス丸和運輸機関とANA Cargo(ANAカーゴ、東京都港区)が業務提携して、新規ビジネスの創出に動き出した。生鮮品の産地直送輸送の推進や緊急時の輸送体制の構築などについて、両社で連携して進める。陸上と航空の貨物事業会社がタッグを組むことで、新たなビジネス創出につなげる狙いもある。

EC(電子商取引)や食品、医薬などの陸上輸送に強みを持つ丸和運輸機関と、
国内最大の航空ネットワークを持つANAグループの貨物事業の中核会社であるANA Cargoとの協働により、空陸一貫物流サービスを構築し、新たな物流サービスの拡充を図る。
提携による注力分野として、生鮮品の産地直送航空輸送の商流拡大や共同マーケティング、緊急対応可能な輸送体制構築を推進。さらに付加価値商材の航空輸送への切り替えや航空資材の共同開発により、陸上と航空の輸送を組み合わせた柔軟な輸送サービスの展開につなげる。越境ECの日本国内ラストワンマイル配送構築にも取り組み、多様な輸送ニーズに対応する。

出所:丸和運輸機関

航空業界は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う旅客輸送の低迷で、航空貨物輸送に活路を見い出す動きが広がっている。ANAカーゴは、既に北海道産トウモロコシの即日輸送などで連携している丸和運輸機関との提携関係を結ぶことで、航空貨物事業の収益拡大につなげる狙いもあるようだ。

提携を契機とした新ビジネス創出に期待

以前より関係の深かった丸和運輸機関とANAカーゴの提携。陸上輸送と航空輸送を組み合わせた新たな物流ビジネスの可能性を示す契機になることを強く期待する。

ANAカーゴは、航空旅客輸送の伸び悩みに苦しむANAグループにとって、まさに「頼みの綱」だ。コロナ禍による経済停滞からの回復に加えて消費スタイルの多様化が進んでいることから、貨物輸送は堅調に推移している。このタイミングで攻勢に出ることにより、さらなるビジネスチャンスの獲得につなげられると判断したようだ。

丸和運輸機関にとっても、陸上輸送ビジネスの「幅」を広げる好機になる。陸上輸送業界で他社との圧倒的な差別化を図るためには、既存事業の延長上で勝負するだけでなく異次元のビジネスを創出する必要があった。その意味で、「空」は魅力的な商機と映ったはずだ。

物流業界はこれまで、陸運と空運、海運におけるすみ分けが徹底され、ともすれば相互連携の機運が乏しかった。それぞれが独自に専門性を高めることで、世界でも高水準の輸送品質を確保できたのだろう。とはいえ、新たな物流ビジネスを生み出そうとするならば、こうした垣根を超越した提携による化学反応が必要なのも事実だ。今回の陸と空のタッグが、新たな物流サービスのテイクオフになることを期待する。(編集部・清水直樹)