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GLPグループのエコシステム化構築に寄与

モノフルが家具サブスクに出資、物流DX支援

2021年9月8日 (水)

サービス・商品モノフル(東京都港区)は8日、家具を月額で貸し出すサービスを展開するベンチャー企業のクラス(目黒区)に出資したことを明らかにした。複数の企業を対象とする今回の資金調達で、クラスの累計調達額は2018年の創業以来、28億円に達した。モノフルは「リード投資家」としてほかの出資企業よりも多くの資金を拠出し、自社事業との相乗効果を狙う。

クラスは「必要な時に必要な家具」をレンタルや交換できる定額制サービス「CLAS」(クラス)を個人・法人向けに提供しており、人気の高いプライベートブランド家具など、100社を超えるメーカーの商品を取り扱っている。商品を廃棄せずに専門のリペア職人によって、再利用できる状態にして再び貸し出す循環型のビジネスモデルを打ち出しているのが特徴で、同社は「循環型でサステナブルなものを捨てない社会づくりの実現」を目指す。

今回、調達した資金は事業開発チームの拡大、サービス提供エリア、取扱商品数の拡大に利用し、月額提供サービスの顧客層拡大につなげたい考えで、具体的にはサービス提供の全国展開を目指し、主要地域で商品発送や返却品回収の物流体制を構築。取扱商品数の拡大と平行して倉庫管理のデジタル変革(DX)を進める方針で、モノフルは「GLPグループの強みを活かして物流体制の構築や強化のサポートに携わる」考えを示している。

クラスにとっては、GLPグループの物流倉庫やデジタル化サポートが利用しやすくなることとなり、家具レンタル事業の拡大に障壁となる物流スペースの確保という「避けて通れない課題」の解消につながる可能性が高まったといえる。

テナント育成とDX化実績アピールしエコシステム化狙う

日本GLPを親会社に持つモノフルが家具レンタル会社にリード投資家として出資したのは、物流のデジタル変革(DX)に取り組む自社の事業領域のみを考慮したものではなく、クラスの事業拡大を見越してGLPグループの資源を組み合わせてサポートすることを狙った、幅広い物流業務の構築支援を視界に入れた投資行動と捉えたい。

広大な保管面積を必要とする家具レンタル事業に投資することにより、物流施設の賃貸を主力とするGLPグループは保管、回収、再保管という切れ目のない倉庫需要が見込めるようになる。クラスが物流体制の構築をデジタル変革によって進めようとしている点も、顧客の物流DX支援を「強み」に育て上げてきたモノフルにとって親和性が高い。

GLPグループとしては、自社の物流施設を使用してくれるテナント企業を育成できるほか、モノフルを通じて物流業界で需要が高まるデジタル変革を支援するという実績をアピールすることにより、自社グループと協業先のエコシステム化や新たな案件の呼び込みにつなげる狙いもありそうだ。(赤澤裕介)