サービス・商品学研グループの物流を担う学研ロジスティクス(東京都品川区)は25日、ハンディーターミナルやタブレットなど無線端末とパソコン(PC)との間で手軽にデータを連携できるWi-Fi(ワイファイ)機能付きUSBメモリー「i3 Edge wifiUSB Memory」(アイスリー・エッジ・ワイファイユーエスビー・メモリー)の提供をことし3月1日に始める。
学研ロジスティクスは、物流現場における出荷検品や棚卸業務の効率化を推進するため、ネットワーク環境がなくても場所を選ばず使えるハンディーターミナル「Gakken i3 Handy」(ガッケン・アイスリー・ハンディー)の訴求を推進している。ハンディーターミナルに蓄積されたデータを業務用パソコン端末などと共有することで、データの分析や具体的な業務改善につなげる。
i3 Edge wifiUSB Memoryは、Wi-Fi端末とUSBメモリーの両方の機能を備える。Gakken i3 Handyはネットワーク環境のない空間でも情報を読み取れるものの、蓄積したデータをパソコン端末などに展開するにはネットワーク環境が必要だ。そこで学研ロジスティクスは、Gakken i3 Handyが集めたデータを、Wi-Fi環境下でi3 Edge wifiUSB MemoryのUSBメモリーに移したうえで、さらにパソコン端末に取り込ませる手法を発案。USBメモリーからパソコン端末へのデータ移行はネットワーク環境がなくても可能とした。
Wi-Fi機能を内蔵したUSBメモリーであるi3 Edge wifiUSB Memoryを活用することで、新たにネットワークを活用しなくてもGakken i3 Handyからパソコンへ移行できるシステムの構築に成功した。
学研ロジスティクスは「ネットワークストレージのように扱えるUSBメモリーの利便性と、ハンディーターミナルなどの無線端末とパソコン端末との間で直接アクセスできない万全なセキュリティーが特徴。既設のパソコンのネットワークにも影響を与えずに使用できる」としている。
学研ロジスティクスの「Wi-Fi機能付きUSBメモリー」が示唆する、物流現場の業務改善に必要な「発想力」
学研ロジスティクスが開発した、Wi-Fi機能付きUSBメモリーは、ハンディーターミナルをはじめとする無線端末の活用機会を飛躍的に高める可能性を秘めている。USBメモリーにWi-Fi機能を搭載することで、ネットワーク環境でなくてもハンディーターミナルが集めたデータをパソコンに移せる。つまり、場所を選ばずハンディーターミナルからパソコンにデータを共有できることを意味しているからだ。
物流現場では、ネットワークを活用できない場所での業務も決して少なくない。特に繁忙期で取扱量が急増し、新たなスペースを借りて仕分け作業などを行う場合は、ネットワークが整備されていないケースもありうる。さらに、取引先での作業が発生した場合は、そもそも自社のネットワークは使えないことが一般的であり、オンラインに依存したシステムや機器に慣れている作業者は、業務を遂行できなくなるおそれもある。
学研ロジスティクスは、こうしたオンライン依存のリスクに対処するための取り組みとして、オフラインで活用できる機器の開発に着目した。あえてネットワークを使わない先進的なシステム。一見、矛盾した概念にも思えるが、実は必ずしも定位置で業務を行うとは限らない物流現場の作業を熟知した、ハイスペックな思想に基づく手法なのである。物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化は、必ずしも最先端のネットワークシステムでないと実現しないというものではない。むしろ必要なのは、現場の状況やニーズに即した発想力なのだ。(編集部・清水直樹)
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