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子ども社会体験アプリで物流倉庫の仕事を学ぼう

2022年3月8日 (火)

ロジスティクス豊田自動織機は8日、キッズスター(東京都渋谷区)が開発・提供する子ども向け社会体験アプリケーション「ごっこランド」で、新規パビリオン「そうこのおしごとたいけん!」を出店したと発表した。倉庫の仕事を子どもに体感してもらうことで、物流業務に関心を促す狙い。豊田自動織機は「将来の物流人材の発掘にもつながれば」と期待する。

(出所:豊田自動織機)

パビリオンは、2歳から9歳までの子どもを対象に「そうこでおしごとしよう!」と「フォークリフトではこぼう!」の2つのゲームを提供。物流について楽しみながら学べる構成としているのが特徴だ。

ゲームでは、豊田自動織機によるフォークリフトなど「トヨタL&F」ブランドの物流機器が登場。様々な物流現場で活躍するこうした機器が、産業のみならず社会を支える存在であることを理解できるようなストーリーに仕立てている。

「そうこでおしごとしよう!」は、子どもたちが欲しいおもちゃを選び、端末に届いた発注情報をもとに同じ商品をAGV(無人搬送車)上の段ボール箱に入れる。搬送車をトラックまで誘導し、フォークリフトでトラックに積み込むと、子どもたちの家におもちゃが届けられる。成長を続けるEC(電子商取引)物流センターをイメージしており、豊田自動織機製のAGVやフォークリフトなどが登場する。

「フォークリフトではこぼう!」は、まず「かんたん」、「ふつう」、「むずかしい」から難易度を選択。トラックが指定したマークと同じマークがついた荷物を、コントローラーを操作してフォークリフトで棚から降ろし、トラックに積み込む。全ての荷物の積み込みが完了するまでの時間を競うゲームだ。コントローラーによるフォークリフトの操作を楽しみながら、楽しくプレーできるのが特徴。より短いタイムでのクリアをめざして、何度も繰り返し遊びたくなる仕掛けだ。

子どもへ「夢」を示すこと、それは現場の人手不足を救うきっかけになるかもしれない

荷物が倉庫の中でどのように移動して、トラックに積まれていくのか。意外に難しい倉庫業務のフローも、ゲーム感覚であればこんなに平易に説明できるのだ。物流業界における人手不足が構造的な課題になっているのは、そもそも現場の仕事を次の世代に説明できる大人がいないからではないか。少々乱暴な気もするが、こんな仮説もひょっとしたら成立するかもしれない。

当方も学生時代は、新幹線の車掌になるのが夢だった。家族旅行で新幹線に初めて乗った時、カッコよかった車内検札の車掌が忘れられなかった。車内アナウンスを暗唱して周囲に披露したことも思い出だ。

物流倉庫はどうだろう。そこで繰り広げられる仕事もダイナミックで、つい時間が経つのを忘れてしまう。そうなのだ。仕事風景って、見ていて意外にワクワクするものなのだ。宅配荷物を受け取った経験は誰もがあるだろう。その荷物が、倉庫でこんな形で取り扱われているのかと知るのは、興味深い体験になる。

物流施設に見学スペースを設ける動きが、物流企業の間で広がり始めているという。地域住民への理解促進から機関投資家対応まで幅広いニーズがあるようだが、ぜひ子どもに整然とコンベヤー上を流れる荷物の列を見せてほしい。

「自分が遊んでいるおもちゃも、こうした倉庫を経て店頭や自宅に届いているのだ」。それを実感してもらうことが、将来の物流人材を育成するスタートになれれば。遠い先の話かもしれないが、そんな夢を語るのも悪くない。(編集部・清水直樹)