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日本GLP、岡山県総社市で3棟目の物流施設を完工

2022年3月18日 (金)

拠点・施設日本GLP(東京都港区)は18日、先進的物流施設「GLP岡山総社III」(岡山県総社市)の建築工事が完了したと発表した。入居企業は、日本郵便(東京都千代田区)とダイレクトマーケティング事業を展開するジップ(岡山県瀬戸内市)、物流サービスのダイオーロジスティクス(愛媛県四国中央市)、理美容業界の総合商社の滝川(東京都台東区)の4社が決定。既に全フロアで成約済みとなっている。

▲GLP岡山総社III外観(出所:日本GLP)

GLP岡山総社IIIは、両備ホールディングス(HD、岡山市北区)が開発・造成した「岡山総社IC流通センター」内に立地。岡山自動車道「岡山総社インターチェンジ(IC)」に至近で、山陽自動車道や中国自動車道、瀬戸中央自動車道を経由して、中国・四国地方をはじめ関西圏から九州地方まで西日本の広域物流結節点として広域配送に適した立地が特徴だ。

機能面では、汎用性の高い基本的な倉庫仕様をベースとしながら、1階の床耐荷重を向上させることで、重量荷物にも対応できる強靭な構造とした。両面バースを備えることで物流業務の効率化をサポートするほか、出幅5.5メートルのひさしや、高さ5.2メートルのオーバースライダーをトラックバースに設けることで、雨天時の良好な作業環境を確保した。

就労環境への配慮としては、庫内の従業員やトラックドライバーが利用できるコンテナハウス型の休憩スペースを屋外に設置し、アメニティの充実を図った。太陽光発電を自家消費する仕様としており、環境にも配慮している。

▲左から「GLP岡山総社III」、「GLP岡山総社I」、「GLP岡山総社II」外観(出所:日本GLP)

GLP岡山総社IIIを隣接するマルチテナント型施設「GLP岡山総社I」「GLP岡山総社II」との一体プロジェクトとして整備。日本GLPの提供する各種物流サービスを受けられるほか、カフェテリア・売店、駐車場などの共用サービスも利用できる。緊急時における免震施設としての管理機能や防災機能を連携することで、テナントの円滑で安心・安全な施設運営に貢献できるのも強みだ。

このたびのGLP岡山総社IIIの完成を契機として、地域貢献の取り組みを強化する。日本GLPは、総社市と両備HD、GLP 投資法人(東京都港区)の4者との間で、「災害時における避難場所の確保並びに支援物資の受入・配送及び物資集積・搬送拠点の提供に関する協定」を締結。総社市内に大規模な災害が発生した場合に4者が連携することで、災害対応の体制を迅速に整えます体制を整える。

総社市の要請により、「GLP岡山総社I」「GLP岡山総社II」「GLP岡山総社III」を対象として、高いBCP(事業継続計画)機能を持ち災害に強い物流施設の倉庫や共有スペースの一部を提供するとともに、両備HDが荷役作業や配送業務を担うことで、支援物資のよりスピーディーな輸配送に貢献する。総社市は、災害の状況や被災者の要望、物資調達の情報を共有するほか、協定に基づく倉庫や荷役、配送業務の一括した対応により、円滑な支援業務が可能となる。

新たな物流拠点の「方向性」を提示する日本GLP「岡山総社」プロジェクト

日本GLPが2012年から進めてきた「GLP岡山総社」プロジェクト。ついに3棟目となる「GLP岡山総社III」が完成し、いよいよ西日本における中核物流拠点がフル稼働することになる。

日本GLPが関西圏以西の西日本における広域物流拠点の開発地として岡山県総社市を選んだのは、全方位への交通アクセスの結節点として最適だったからだ。高速道路の広域地図を見ればよく分かる。山陰から山陽、四国・九州、さらに関西圏へ。「扇の要」に位置するのが、岡山市とその周辺なのだ。

(イメージ)

物流拠点の展開について考えるうえで、高速道路網の充実は最も重要な要素の一つだ。広域アクセスを企図したプロジェクトであるならなおさらだ。ドライバーの労務管理や将来の先進モビリティを活用した輸送の具現化といった観点でも、こうした高規格道路網の機能を最大化できる立地の選択が、プロジェクトの成否を握るのだ。

日本GLPの物流施設開発には、大きく二つの方向性がある。まずは、首都圏や関西圏で展開する大規模多機能型物流施設「ALFALINK」に代表される、大都市圏における圧倒的な物量や種類の荷物に対応できる巨大プロジェクトだ。ALFALINKは、物流施設の枠を超えて地域に開かれた「街」を創出する発想に基づく「創造連鎖する物流プラットフォーム」を訴求。日本GLPを象徴するプロジェクトとして、業界でも圧倒的な存在感を誇る。

もう一つのアプローチが、地方部における物流拠点だ。顧客ニーズを小刻みに反映しながら、地域特性を意識しながらオーダーメードに近い発想で物流施設を展開するイメージだ。

今回の岡山総社プロジェクトは、新たに第三の方向性を明確に示したと言えないか。いわば広域拠点にこだわった物流施設展開を推進するスタイルだ。ALFALINKなど大都市圏の施設と地方部との結節拠点として、さらにその地方ならではの物流ニーズも逃さない、いわば中間ハイブリット型のアプローチだ。

もはや国内の物流ビジネスの「あるべき姿」を先導する存在にさえなっている感もある日本GLP。「新しい生活様式」の本格的な到来を見据えた物流の理想像の一つとして、岡山総社プロジェクトは西日本の中核拠点としての機能をどこまで担えるか。本領発揮の舞台は整った。(編集部・清水直樹)