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パルシステム茨城 栃木、免許返納者の手数料無料

2022年3月31日 (木)

(出所:パルシステム連合会)

サービス・商品パルシステム生活協同組合連合会(東京都新宿区)は3月31日、生活協同組合パルシステム茨城 栃木(水戸市)が自動車運転免許を自主返納した高齢者世帯への商品配送手数料を4月から無料にすると発表した。自動車で買い物に出かけられない高齢者を支援する取り組み。物流インフラを担う事業者ならではの高齢者支援策として注目を集めそうだ。

サービス対象エリアである茨城・栃木の両県内では、日用品を購入できる店舗の減少や公共交通網の弱体化が進み、高齢者の自動車運転による交通事故も社会的な課題となっている。パルシステム茨城 栃木にも、利用者である組合員からこのような地域社会の課題解決を求める声が寄せられている。

パルシステム茨城 栃木では、2008年4月に高齢者世帯を対象とした「シルバー優遇制度」を創設。個人宅に生協商品を届ける「パルシステム手数料」(税込204円)を半額にしている。このたび、シルバー優遇制度の対象に自動車運転免許の自主返納者を加えるともに、手数料を無期限で無料とした。今回の取り組みについては、両県の自動車運転免許自主返納支援事業として登録する。

新たなシルバー優遇制度は、単身または夫婦のいずれかが65歳以上の世帯を対象とする。自動車運転免許の自主返納者であることを証明する「運転経歴証明書」の提示が必要だ。

宅配サービスの充実で「生活弱者」生まない社会の創出を期待する

宅配サービスは、自宅やオフィスなどにいながら商品を購入して受け取れる便利な仕組みだ。消費スタイルの多様化や新型コロナウイルス感染拡大に伴う「巣ごもり需要」の広がりで脚光を浴びているが、生活の足がない高齢者にとってはまさに暮らしを支える「インフラ」そのものであることを忘れてはならない。

パルシステム茨城 栃木は、自動車免許の自主返納者により使いやすい宅配サービスを提供することで、こうした「インフラ」を担う意思を鮮明にした。

(イメージ)

生活の足としてマイカーが欠かせない土地柄。幹線道路沿いの店舗や飲食店、役所にまで広大な駐車場が併設され、マイカーでの来店を前提とした仕様になっている。その結果、鉄道やバスといった公共交通機関は利用率が低迷し、路線縮小や撤退が続く。まるで「自動車免許のない者は来るな」と言わんばかりだ。

パルシステムは、食料品から生活雑貨、衣料品まで幅広い商品を届けてくれるきめ細かなサービスが強み。冷凍・冷蔵品や生鮮品もラインアップが豊富で、まさに宅配スーパーそのものだ。こうした物流インフラ従事者だからこそできる生活支援策。パルシステムをはじめとするマネジメント事業者には、「生活弱者」を生み出さないためのさらなる取り組みに期待したい。(編集部・清水直樹)