ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

NX中国、中国・東南アジア間複合輸送サービス開始

2022年4月12日 (火)

国際NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は12日、グループのNX国際物流(中国)(NX中国)が中国・昆明とタイなど東南アジア諸国の間を鉄道とトラックで輸送する複合輸送サービスを開始したと発表した。

昆明とタイ国境に近いラオス・ビエンチャンを結ぶ国際鉄道と、ビエンチャンからタイなど東南アジア諸国へのクロスボーダートラック輸送を組み合わせる。

安定したリードタイムによる輸送サービスを提供できるのが特徴。従来の鉄道を使わずクロスボーダートラックのみの輸送時と比べて、リードタイムを半日短縮できる。さらに、鉄道輸送による二酸化炭素の排出削減も実現できる。混乱している海上輸送に対するBCP(事業継続計画)を意識した代替輸送モードとしても活用できる。

(クリックで拡大、出所:NXHD)

昆明・ビエンチャン間の中国ラオス鉄道が2021年12月3日に開通。これまで中国と東南アジア諸国を結ぶ陸上輸送はクロスボーダートラック輸送が主流だった。NX中国は、このたび中国からビエンチャンまで鉄路がつながったことを受けて、中国・ラオス国境の混雑を回避するとともにリードタイムの短縮や大量輸送が可能な鉄道を活用した複合輸送サービスの展開を決定した。

NXグループは中国・東南アジア間の複合輸送サービス開始を契機として、今後も国内外で多様化する物流ニーズに対応するため、新規ビジネスの創出を推進していく。

物流の「日本品質」、脱炭素化の潮流受けて「世界品質」に昇華するインパクト

中国と東南アジア。世界で最も物流のポテンシャルが高いエリアの一つだという。将来の物流の大動脈となりうる輸送ルートにおけるビジネス開拓に、日本通運が名乗りを上げた。

日通は、中国ラオス鉄道の開通を契機として、この物流における将来のゴールデンルートに早期に関与しておきたい思惑があった。しかし、鉄道だけではラオス・タイ国境までしか到達しない。本来の市場はタイから先に広がるのだ。

そこで、クロスボーダートラックとの複合輸送という新サービスを発案した。異なるモードの接続による一貫輸送は、まさに日本の輸送品質の得意とするところだ。環境配慮型輸送モードとして、鉄道に注目が集まるのは、世界におけるトレンドである。東南アジアも例外ではなく、持続的な輸送モードとして、鉄道敷設の機運が高まっている。日通がビジネスチャンスと位置づけた背景にあるのも、まさにそこだ。

物流の「日本品質」は、脱炭素化という世界レベルの潮流を受けて「世界品質」になろうとしている。今回の中国・東南アジア間の複合輸送サービスは、こうした未来を予測させる十分なインパクトを持っている。(編集部・清水直樹)