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ヤマトが吉野家の冷食「牛丼の具」の物流を一元化

2022年9月12日 (月)

▲冷凍牛丼の具(出所:ヤマト運輸)

ロジスティクスヤマト運輸(東京都中央区)は12日、牛丼チェーンの吉野家(同区)から「冷凍牛丼の具」などの外販食品の保管・発送業務を全面的に請け負ったと発表した。インターネット通信販売と卸売りの2つのルートに分かれていた商品物流を、ヤマトの3温度帯ネットワークの上で一元化し、効率化と出荷の拡大につなげる。

ヤマトが扱う商品は「冷凍牛丼の具」と、「缶飯牛丼」(常温)など缶詰。このうち冷凍牛丼の具は、牛丼を自宅でも食べられるようにした冷凍食品で、出来立ての状態から急速冷凍パックしており、電子レンジや湯煎で温めると家庭で牛丼が簡単に食べられる。商品の物流はこれまで、ネット通販サイト経由で消費者に直接宅配する直販ルートと、卸売り経由でスーパーなど小売店に届けるルートに分かれ、非効率だった。

両社は12日に「流通スキーム再構築に向けた合意書」を締結した。ヤマトは冷凍牛丼の具など吉野家の外販食品のサプライチェーンを上流から下流までトータルで支援する。2つの物流ルートをヤマトの3温度帯対応の物流ターミナルで一元化する。全国の輸配送ネットワークやデジタル情報の可視化ノウハウも使い、作業の効率化と出荷量拡大を図る。輸送トラックが排出する温室効果ガスも削減できるという。合意に先立ち、8月17日から直販ルートはヤマトの物流に移っており、2023年2月に卸売りルートを合流させる。

外販流通スキーム

ヤマトは企業の物流を一括して請け負う3PL事業を、宅配と並ぶ経営の柱として伸ばす戦略をとっており、吉野家の物流請け負いもその一環だ。

新型コロナウイルス禍による外食離れと巣ごもり消費・中食需要の拡大を受け、吉野家は外販を強化していた。21年度の外販事業の売上高はコロナ前の18年度に比べて2倍に増えた。そうした中、販売ルートごとに委託業者が異なる問題や、温度帯が違う70種類以上もの商品の管理が物流効率化の課題となっており、ヤマトの力を借りることにした。