ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

空港の除雪自動化へ技術開発を加速、国交省

2022年10月3日 (月)

(イメージ)

行政・団体北国ではまもなく雪の季節を迎えるが、国土交通省は空港の除雪作業の自動化に向けた技術開発を加速させる方針だ。労働力不足は空港部門でも進んでおり、限られた人数で広い空港を除雪できる体制を構築し、物流や旅客への不安を少しでも取り除きたい考え。2023年度に積雪寒冷地の空港で除雪装置の自動化実験を行う計画だ。

北海道や東北、北陸など積雪の空港の除雪作業は専用の除雪車で行っており、現在は各車両に運転手兼除雪装置オペレーターと助手の計2人が搭乗して作業にあたっている。国交省は当面の目標として、ワンマンでの除雪作業を目指す。助手を乗せず、運転手は運転に専念し、除雪装置の操作を自動化する。

これまで車両メーカーや除雪機械メーカー、有識者らと検討委員会を組織し、研究・開発を進めてきた。20年度に新千歳空港(北海道千歳市)で、21年度には稚内空港(同稚内市)で、自動化の前段階の実験も行った。助手を乗せない省力化が可能かどうかを見極めた。23年度はいよいよ除雪装置を自動化してのワンマン除雪を試す。

(イメージ)

自動化のポイントは、滑走路に設置され、雪の下で見えなくなっている航空灯火を傷つけずに除雪できるかにある。航空灯火は、航空機の航行を援助するための保安施設で、夜間や悪天候時に離陸や着陸の目印となったり、障害物件をパイロットに知らせる役目がある。除雪作業中は車両の先頭につけた「プラウ」と呼ぶ装置を、雪の下の航空灯火に当てないよう上げ下げしなければならない。現在はオペレーターを兼ねる運転手が図面を頼りにプラウの操作をしている。それを先端技術である衛星測位システムを活用して、航空灯火の位置情報を車載装置の座標に落とし込み、プラウを自動で上げ下げさせる。

国交省は23年度予算の概算要求に、「空港の地上支援業務への先端技術導入促進費」として22年度の2倍の2億円を計上した。その一部を自動化実験に当てる考えだ。空港技術課によると、技術開発には数年はかかる見通しという。

新千歳など積雪地の空港では冬季、暴風雪の影響で機能マヒに陥ることも少なくない。除雪の「完全無人化」の道筋はまだ見えていないというが、作業人材が十分確保できなくなる時代に備え、自動化・省力化の体制づくりを早めに構築したい考えだ。

国交省の23年度予算概算要求6.9兆円、DXを推進