行政・団体国土交通、経済産業、農林水産の3省が17日に開催した「第5回持続可能な物流の実現に向けた検討会」で、小売事業者でつくる業界4団体から、小売事業者を想定した物流改善に係る規制的措置の検討などに反発する意見書が提出されていたことが明らかになった。意見書では「ものが運べなくなる」という物流危機への課題解決に協力が必要との認識を示した上で、小売業の実態把握などが不十分で「一足飛びの規制的措置の検討には強い疑問を呈する」と不快感をあらわにしている。
意見書は1月11日付。全国スーパーマーケット協会をはじめ、日本小売業協会、日本スーパーマーケット協会、日本チェーンストア協会の4団体が連名で、この日の検討会の参考資料として検討委委員に共有された。
意見書によると、昨年9月に始まり、これまでに産学官で計4回議論してきた検討会の中間とりまとめ骨子の各種内容に対して意見を表明したもの。その中に「小売事業者として、直ちに納得できない内容が含まれている」として意見書を出したという。
具体的には、骨子に盛り込まれた「現状と課題」に関する部分について「物流の危機的状況に対する消費者や荷主企業の理解が不十分」とする内容に触れ「あたかも荷主企業全体がそうであるかの指摘は不適切」と反論。さらに、物流プロセスの課題として「サプライチェーンのパワーは川下の小売が強い」とした内容を問題視し、根拠を示すデータや資料をベースにした議論を求めるとともにサプライチェーン全体を俯瞰した上で、業界ごとに長時間の荷待ちや荷役などの問題点を可視化することが課題解決につながると主張している。
「課題を踏まえた政策の方向性」に関しては「規制的措置等、より実効性のある措置も検討」としている点に言及。「どこに、どのような問題が、どの程度存在するのか」を可視化するのを優先すべきとして、「小売事業者を措置の対象と想定することは納得できない」と猛反発している。
最後に「ものが運べなくなる」事態を防ぐため、小売業界も努力を続ける必要があるとの認識も示した。十分な実態把握に基づく根拠と必要性が示されなければ、規制的措置は「到底納得できない」との見解を示した。
この日の第5回検討会は、荷主側に対して、計画的な物流改善を促すよう、より実効性のある措置を検討することなどを盛り込んだ中間とりまとめ案を承認した。一方で、引き続き、荷主業界団体へのヒアリングなどを通じて、業種ごとの特性や実態の把握に努めた上で、ことし5、6月に最終案を取りまとめる方針も確認した。
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