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日販、王子流通センターの食堂と休憩所を刷新

2023年3月9日 (木)

拠点・施設日本出版販売は9日、日販グループホールディングス(HD)が従業員の働きやすさ向上と職場環境改善などのため、東京都千代田区の御茶ノ水本社・日販王子流通センターの一部をリニューアルしたと発表した。すでに2月20日から順次稼働している。本社をグループ内と社外パートナーとの共創を生み出す場にするとともに、センターは環境や人にやさしい物流拠点として刷新した。

▲リニューアルした食堂(出所:日本出版販売)

発表によると、王子流通センターは従業員が毎日1000人勤務する。食堂をリニューアルし、屋上緑化などの環境整備を行うことで地域住民との交流機会を創出し、出版流通への関心を持ってもらうオープンな場を積極的に設ける。

同センターは22年にトラック発着バースの予約受付システムを導入し、構内でのトラック待機時間を15分以内に短縮するなどドライバーへの配慮にも注力してきた。働く人の目線でも食堂と休憩所をリニューアルし、安全で安心な職場環境を整えた。

日販グループは近年、「環境との共生」を掲げて物流施設におけるCO2排出量削減に向けた太陽光発電の導入や脱プラスチックのために物流資材の見直しを行っている。その一環として、同センター3号館では22年に再生可能エネルギー由来の電力を導入し、太陽光発電と合わせてCO2排出量ゼロを達成した。今回の施設刷新に伴い、4月に構内に緑地帯を設けて環境配慮型施設を実践していく。


▲王子流通センター構内に設置する緑地帯のイメージ

さらに、ことし3月には、ねりま流通センター(東京都練馬区)にも太陽光発電を導入する予定。

作業場から付加価値を創造する空間へ、働くスペースの再定義が人材確保のカギを握る

国内の産業界で、就業環境を改善して従業員の業務効率を高める取り組みが進んでいる。「作業場」から「付加価値を生み出す空間」へ。相当の資金を投じて働くスペースを再定義する取り組みに注力する姿からは、人手不足が顕在化するなかで従業員の確保に躍起な事業者の“悲鳴”も聞こえてきそうだ。

少子高齢化による生産年齢人口の減少に歯止めがかからない状況下で、産業構造の変化から職業選択に関する価値観も急速に多様化。一方で、女性や高齢者、外国人などさまざまな人材が仕事を共有する時代が到来している。

こうしたなかで、経営者が現場の最前線を担う従業員を持続的に確保するために欠かせないのが、就業環境の改善だ。それは作業現場にハイテク機器を投入すれば解決する話ではない。むしろ、こうした現場に休憩スペースなどを含めた居住性や快適性を追求する必要が出てきた。そこに付加価値を訴求することで、従業員の就労意欲を喚起する狙いだ。

(イメージ)

経営者に価値観の転換を迫る要素として、従業員の「仕事」に対する価値観の変化が挙げられるだろう。一定の層で、仕事に就く目的が「賃金を得るための手段」から「社会への貢献の機会」へと変化していることは見逃せないポイントだろう。経営者がこうした変化に対応した職場環境を提供する必要に迫られる局面で、仕事場は生活の一部として機能するスペースでなければならない。

こうした動きに最も縁が遠いと思われてきたであろう物流現場も、劇的な変化を遂げている。コンビニエンスストアや保育所の併設はもちろん、スポーツクラブや遊戯施設まで整備されているとあっては、「倉庫」のイメージは昔日の感すらある。従業員にとって、就業スペースという概念はもはやボーダーレスとなり、街の延長上に存在するのだ。

一つの仕事だけで人生を全うすることは難しいと言われる将来。足元で取り組んでいる仕事をテコにして新たな地平を開拓していく。こうした素養を蓄える空間こそが、求められる就業環境なのかもしれない。(編集部・清水直樹)

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LOGISTICS TODAY編集部
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