ロジスティクス9月27日は「女性ドライバーの日」というはご存知だろうか。1917年、栃木県で23歳の女性が、国内で初めて運転免許を取得したのが起源とされている。今日では女性が運転免許を持つことは当たり前の時代となったが、職業としての女性ドライバーという観点では、各企業の努力によって総数は改善傾向ではあるが普及しているとは言い難く、ドライバー職に占める女性の割合は依然として少ない。
ドライバー=(イコール)重貨物を扱うというイメージが一般的で、最近では運転と荷役作業を切り離す傾向も多くなってきているものの、どうしても重労働で女性には向かないというイメージが先行してしまう。しかし、EC(電子商取引)が世に浸透し始め、新型コロナウイルス禍によってその普及度が加速しているなか、手で運びやすい小口の貨物が増加したことにより、「女性軽貨物ドライバー」の存在感も高まっている。
アマゾンフレックスドライバーとして活躍し、1児の母でもある石井智恵さんは、軽貨物ドライバーを始めて2年となる。始めた当時は1歳の子どもの育児と家事を両立する必要があったため、「自由に働ける」という条件で職探しをしていたところ、アマゾンフレックスドライバーに注目。それまでドライバー職の経験はなかったが、「とにかくやってみる」という精神で軽貨物運送の世界に飛び込んだ。最初はアプリの使い方などに苦労したというが、「運転が好きで、特に抵抗なく業務に入れました」と語る。
1日の大まかなスケジュールは、朝に幼稚園に子どもを送った後、ステーションに行って受け付け、集荷を行い、配達にあたる。石井さんは主に6時間の配達オファーを受け、15時30分くらいまでに配達を終えた後は、スーパーマーケットでの買い物や子どもの迎えなどに時間を割け、家事との両立もできているという。
アマゾンフレックスには稼働時間を2‐8時間で区切った「ブロック」というものが存在し、ドライバーはその中から自由に稼働する時間帯のブロックを選択できる。配達員の経験が浅い場合は、それを考慮した荷物量とすることで、時間内に配達業務を終えやすくしている。石井さんが「今までは必ず時間内に配達が終わっているので、家事との両立で苦労したことはないです」と話す通り、ここが「自由に働けること」という石井さんの求職ニーズに合致する点で、働き方の多様性を推進する点であると考えられる。
物流の2024年問題について石井さんに尋ねると「アマゾンフレックスは置き配が多いので少ない方だと思いますが、不在で荷物を受け取っていただけない場合もある。配達員にとってはすごくもったいない時間になってしまうので、置き配がもっと浸透していけば」と語った。物流革新に向けた政策パッケージでも、置き配の削減などに向けた一般消費者の行動変容も重要施策と位置付けており、再配達削減に向けた具体的な取り組みを模索しているところだが、こういった身近な配達員の声を消費者に届けることで、行動変容を促すきっかけとしたいところだ。
石井さんは軽貨物ドライバーをする上で「女性であること」が原因で苦労したことはないと語っている。「女性でも持てる軽い荷物ばかりですし、家事や育児とも両立できているし、業務をする上で不利だと思ったことはないです。運転が好きで、配達ルートを自分で考えるのが好きな人とかであれば、継続してできる仕事だと思います」(石井さん)。ドライバーの時間外労働時間規制の厳格化により、働き手の多様化や、ワークライフバランスへの配慮が課題となっている物流業界で、「女性軽貨物ドライバー」の可能性をみた。
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