ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

時給2500円以上や労災保険加入を要求

アマゾン配送ドライバーが労組結成、団交申し入れ

2024年1月17日 (水)

ロジスティクスアマゾンジャパン(東京都目黒区)と業務委託契約を結んだ個人事業主が軽貨物運送を行う「Amazon Flex」(アマゾンフレックス)において、最低報酬の引き上げや労災適用を求め、東北地方で働くアマゾンフレックスの配送ドライバーが16日、労働組合「Amazon Flexユニオン」を立ち上げ、アマゾンジャパンに団体交渉を申し入れたと発表した。個人加盟型の労働組合「総合サポートユニオン」を通じ、メディアプラットフォーム「note」(ノート)に労組立ち上げの経緯などを投稿した。

団体交渉で求めるのは、アマゾンフレックスのオファー報酬を全国一律1時間当たり2500円以上に引き上げること▽荷量に適正な上限を設けること、さらに荷量やオファーの内容、アカウント停止など、労働条件に関わるアルゴリズムやその決定方法を開示すること▽すべてのアマゾンフレックスに登録している配送ドライバーを労災保険に加入させること──の3点。

投稿によれば、東北エリアでの時間当たりオファー報酬は1600円で、燃料費や各種保険料などの経費を自己負担するため、実質的な手取りは最低賃金をやや上回る程度だという。アマゾンジャパンの2022年の年間売上高は前年比5.7%増の3兆2000億円と拡大しており、それに伴い宅配の件数や範囲も拡大していることから、「現場のドライバーにも利益が還元されるべき」と主張している。

一般には公表されていないアマゾンフレックスの委託業務内容の決定方式について、透明化を要求。投稿によると、アマゾンフレックスは車建て運賃制を採用しているが、荷量はアマゾンのアルゴリズムにより決められ、時間内に配達完了することが困難な量を割り当てられることも少なくないという。配送中の怪我や事故のリスクが高まる一方、契約上はこれらの責任をドライバーが負担する形となっており、アマゾンフレックスユニオンは「委託主であり、荷量を決定するアマゾンジャパンが(配送中の怪我や事故の)補償責任を負うべき」としている。

実質最低時給の向上なくして国民生活の向上無し

経費を抜くと最低時給に満たない収入しかえられないのであれば、働き手は最低限の生活を送ることができない。ではその金額が最低時給を超えていればいいのかといえばそうでもないだろう。国内でもっとも最低時給が低いのは秋田県の893円だが、この時給で1日8時間労働を月に20日すると、年間の収入は171万4560円となる。近年言われる「ワーキングプア」とは年収200万円以下を指すので、最低時給ではワーキングプアの域を出ないことになる。200万円以上の収入を得るためには標準的な働き方をする場合、時給1042円以上が必要となる。

人口減少に伴い労働人口も減り、働き手はますます探しにくくなる。働き手の売り手市場となって、より条件のよい働き口をえり好みしやすくなる中で事業継続するためには、実質的にどの程度の年収を提示できるかが勝負になってくるのではないだろうか。

また、ウーバー、ヤマトなどを相手取り、業務委託契約であっても労働者としての扱うべきケースを巡って交渉などが行われることもあり、今後の推移に注目したい。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com