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郵船が通期経常を上方修正、LPGタンカー好調で

2023年11月6日 (月)

財務・人事日本郵船は6日、2024年3月期通期連結業績予想を修正した。売上高を前回予想から1100億円増の2兆2800億円に、営業利益を190億円増の1650億円に、経常利益を250億円増の2350億円に引き上げ、最終利益は据え置く。定期船事業での利益水準は低下する見通しだが、物流事業や不定期専用船事業が堅調に推移するほか、エネルギー事業がVLGC(大型LPGタンカー)市況の活発化で当初予想を上回る見込みとなった。

同日発表した24年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比14.5%減の1兆1683億3500万円、経常利益が同79.2%減の1592億9700万円、最終利益が83.9%減の1133億9000万円。

定期船事業の売上高は10.3%増の1117億円、経常利益は5199億円減の467億円だった。コンテナ船部門では北米における在庫の積み上がり、欧米を中心とした金利の上昇やインフレなどで貨物需要が低迷した上、新造船の完成などで船舶供給量も増加し市況が悪化した。持分法適用会社のオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE、シンガポール)も運賃下落により利益水準が低下した。国内ターミナルではコンテナ船のスケジュールが正常化したことで取扱量が増加したものの、海外ターミナルでは低調な荷動きにより取扱量が減少した。

物流事業全体の売上高は28.6%減の3386億円、経常利益は234億円減の137億円。航空貨物取扱事業は国際旅客便の供給スペースが増加するも荷動き減少し、取扱量や利益水準は低調だった。海上貨物取扱事業ではアジア域内やアジア発長距離航路を中心に荷動きが低迷した。ロジスティクス事業では、欧州域内のEC(電子商取引)、ヘルスケア、自動車関連産業の荷動きが好調で、北米での一般消費財の底堅い需要で堅調に推移した。

航空運送事業の売上高は37.2%減の778億円、経常利益は436億円減の3億円と大幅減益。荷動きが前年同期比で減少した上、国際旅客便の供給スペースが増加したことで需給が緩み、前年同期と比較して運賃水準が低下した。

不定期専用船事業では全体の売上高が3.8%減の5928億円、経常利益が154億円減の1031億円となった。自動車事業部門は完成車生産台数の回復や販売需要増での需給ひっ迫に対応し、効率的な配船計画で船舶稼働率を向上させたことで輸送台数が増加した。自動車物流では、欧州やメキシコ、東南アジア地域で取扱量が増加したほか、インドネシアで新たにターミナル事業への投資を実施するなど事業拡大を進めた。ドライバルク事業では、ケープサイズが中国経済の回復遅れで減少。パナマックスサイズ以下は石炭と穀物の荷動きは堅調だったが市況は前年水準を下回った。

エネルギー事業部門では、VLCC(大型原油タンカー)は主要産油国による減産や季節的な不需要期に入ったことで市況は軟化。石油製品タンカーはロシア・ウクライナ情勢の影響によるトレードパターンの変化で輸送距離が延びた。VLGC(大型LPGタンカー)は米国からアジア地域への長距離輸送が増加したことで、市況は9月に過去最高地を更新するなど好調だった。LNG(液化天然ガス)船は長期契約に支えられ順調に推移した。海洋事業は、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)、ドリルシップ、シャトルタンカーが順調に稼働した。

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LOGISTICS TODAY編集部
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