国際米連邦自動車運送安全局(FMCSA)が外国籍トラック運転手の商用運転免許(CDL)取得要件を大幅に厳格化する最終規則を2月13日に公布し、3月16日に施行する。現在19万4000人いる「非居住CDL」保有者の大半が免許更新の資格を失い、米国トラック輸送の供給力が中長期的に逼迫する見通しだ。日本の「2024年問題」と同じく、安全規制の強化がドライバー不足を加速させる構図が米国でも鮮明になっている。(編集長・赤澤裕介)
5年で段階的に市場退出、港湾に打撃
非居住CDLは、米国に永住権を持たない外国籍の人物が取得できる商用運転免許で、これまで就労許可証(EAD)を提示すれば幅広いビザカテゴリーの保有者が取得できた。今回の最終規則では、取得資格をH-2A(農業季節労働)、H-2B(非農業季節労働)、E-2(条約投資家)の3種類のビザ保有者に限定する。難民、亡命申請者、DACA(幼少期入国者の強制送還猶予措置)対象者は資格を失う。
FMCSAの推計では、19万4000人の非居住CDL保有者のうち、新基準で資格を維持できるのはごくわずかだ。既存の免許は有効期限まで使えるが、更新時に新基準が適用されるため、5年間で段階的に市場から退出する。業界では年間4万人前後と見積もっている。免許の最大有効期間も1年間に制限された。
影響が特に大きいのは港湾周辺のドレージ(短距離コンテナ輸送)だ。非居住CDL保有者はテキサス、カリフォルニア、ニューヨークなどの港湾都市に集中しており、ドレージや倉庫間輸送の担い手として大きな割合を占める。長距離トラック輸送でも、輸送力の1割超に影響が及ぶとの業界分析がある。

▲州別の監査における不適合率
FMCSAは規制強化の根拠として安全上の問題を挙げた。米国のデータベースでは外国での運転歴を照会できないため、重大な違反歴や事故歴のあるドライバーが審査をすり抜けていた。FMCSAは25年に非居住CDL保有者が起こした死亡事故17件(死者30人)を確認しており、新規則で資格を失う層のドライバーによるものだったとしている。30以上の州が連邦規則に適合しない形で非居住CDLを発行していたことも監査で判明した。
一方、規制に対する反発も強い。シーク教徒の権利擁護団体は、トラック運転がシーク教コミュニティーで最も一般的な職業の一つであることを理由に、カリフォルニア州車両管理局を相手に集団訴訟を起こした。FMCSAに提出された8000件超のパブリックコメントの大半が規制反対だったにもかかわらず、実質的な修正なく最終規則を公布したことも批判を招いている。ワシントンD.C.巡回控訴裁判所には差止め請求が提起されており、施行が遅れる可能性も残る。
米国のトラック運送業界ではすでにキャリア(運送事業者)の倒産増加、22年のピークから12%減少した事業者登録数など、供給側の縮小が進んでいた。英語力要件の厳格化で25年末までに1万人が運行停止処分を受けたことに加え、今回の非居住CDL規制が重なることで、需要がわずかに上向くだけでも運賃の急騰や配車の混乱が起きるとの見方が業界内で広がっている。
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