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仕分けシステムの世界トップ企業、アイオイ・システムの大変革

新生AIOIが目指す、驚きあふれる物流現場の創造

2023年11月24日 (金)

話題導入国数72か国。導入実績5000件以上。これは、世界トップシェアのピッキング・仕分け作業支援システムのサプライヤーとして、アイオイ・システム(東京都品川区)が世界の製造・物流現場に提供してきたソリューションの実績である。

▲代表取締役社長の吉野豊氏

中でも、デジタルピッキング表示器の導入実績は650万台以上と、2024年問題が脚光を浴びる前から庫内現場の効率化を先導。物流効率化システム開発・提供における、世界的なリーダー企業であることを、これらの数字が物語っている。

同社は今年40周年を迎え、企業ロゴの刷新やオフィスの移転など積極的な変革を打ち出した。その陣頭指揮を執るのが、創業者・多田潔氏を引き継いで、ことし代表取締役社長に就任した吉野豊氏である。吉野氏は、「新生アイオイとして、【アップデート】【グローバル】【ニュー】の3つの戦略を実行していく」と決意を語る。

アップデートで機能強化する、主力製品DPS、PPS、Smart Card

冒頭で紹介したハードウェアでの実績は、【アップデート】を加えながらさらなる進化を目指す。紙ベースでのリストピッキングという非効率な作業から、より効率的なデジタル表示器を利用したピッキング・仕分けへの転換において、同社は国内で最初にデジタル化を実現。デジタルピッキングシステム(DPS)表示器を投入して、数字表示やランプ明滅だけでの作業確認を可能とし、スピードアップ、人的ミスの削減や作業データ管理など、紙ベースの作業からの圧倒的な生産性向上に貢献してきた。

「ピッキング現場でも人手不足はますます深刻になり、誰もが使いやすいシステムであることが大切となります。DPSならば初めての方、外国の方もすぐに理解して作業することが可能です。私たちのDPSは独自の省配線システムで庫内のシステム設置、メンテナンスも簡単。これからの物流危機においてもますます重要な役割を果たします」(吉野氏)。

▲営業本部広報部広報課課長の岡本採子氏がDPS表示器について解説する様子

現場ごとの要望に一つずつ対応したことで、表示器の種類だけでも1000を数えるなど、他社とは「ケタ違い」の開発力と導入実績が、同社の物流業界における信頼を創り上げてきた。ことし新たにRFIDリーダーを搭載したDPS表示器を発表、作業者の装着したIDタグと連動して人の作業状況もデータ取得ができる製品を開発するなどアップデートを続けていく。

▲PPSのデモ機

さらに同社が業界に先駆けて開発し、機能性を高めてきたのが「プロジェクションピッキングシステム(R)」(PPS)である。PPSはプロジェクターの投影によって作業指示や確認ができ、これまで表示器を設置できなかったさまざまな形状の棚やラックにも作業に必要な情報を投影することができる。

「棚やラックだけではなく、床面や壁面への投影も可能なフロア プロジェクションピッキングシステムも、棚などを置かずフロアでそのまま仕分けする作業現場で活用いただいており、PPSとしての導入実績もすでに500件以上となっています。AGVなどによって作業者のもとに棚やラックを搬送するGoods-to-Person(GTP)などの自動化機器やロボティクスとも相性が良いので、システムの中に組み込んで生産性を上げる活用などへと拡大できるのではないでしょうか」(吉野氏)。さらに、投影用プロジェクター自体も独自開発に踏み切り、投影範囲と精度を上げて作業性能を最大化させるなど、さまざまな現場運用に対応できる次代の主力ピッキングシステムとして、さらなる普及を目指す。

▲スマートカード

また、ピッキング、仕分け現場の前後工程をスムーズにつなぐアイテムとしてSmart Card(スマートカード)の普及にも力を入れる。電子書籍で活用されている電子ペーパー技術と、RFIDタグ技術を組み合わせたスマートカードは、カード本体にデータを記録できると同時に、人が目視で確認したい情報を表示することも可能な「見えるRFID」。

これまでは、配送コンテナに、印字した出荷情報シールを印刷して貼り付け、納品後は古いシールを剥がして、次の出荷情報を貼り直すという非効率な作業だったものを、コンテナに装着したスマートカードへ出荷情報を書き込む形に変えれば、出荷作業ごとのシールの印字、貼り替えなどは必要なくなり、作業工程の削減やペーパーレスを実現して、環境対策を重視するユーザーにも訴求する。「スマートカードは電池不要で、書き換えによる繰り返し使用が可能。また、書き換えスピードも1秒に改良したことで、コンベア搬送とリーダーライターを連動させて、作業を止めることなく出荷情報を書き換え可能です。高速での仕分け・出荷作業を必要とする現場や、環境配慮型のDX運用での利用拡大を目指します」(吉野氏)

▲営業本部広報部広報課主任の栁下美沙氏によるピッキングシステム実演の様子

グローバルで目指す「AIOI」ブランドの拡大

また、【グローバル】では、来年度の海外での販売比率を50%まで引き上げることを目標として、中国市場、米国・欧州市場の再編、さらに東南アジア市場の開拓を進め、現地企業を1件ずつ攻略する地道な作業で市場の先取りを目指す。すでに、米国、欧州、中国、シンガポールにそれぞれ拠点を設立し、21年に新たにインドで立ち上げたグループ法人でも黒字化を達成。中国市場へは04年から進出してデジタル化の先陣を切り、DXが進む同国市場においても存在感を確立、同社が世界を開拓して作り上げた実績とノウハウを、次の販路拡大へとつなぐ。

TOPPANグループとしてのシナジー活用する物流DXコーディネーター

今までに積み上げてきたハードウェアのアップデート、グローバルの販売強化とともに、ソフトウェアを中心とした【ニュー】領域での積極展開も新生アイオイの重要戦略だ。取得したデータの活用による現場改善提案など「導入して終わりではない、お客様に寄り添うループ作りで、そこから先の改善を繰り返しお手伝いすることが私たちのビジョン」(吉野氏)とする。

21年に同社は、凸版印刷グループ(現TOPPANホールディングス)の一員となった。デジタル化の推進など印刷という領域に限定されない、幅広い事業ポートフォリオの変革を進めるTOPPANグループにおいて、アイオイは「DX事業」の中核として位置付けられている。吉野氏自身、これまでTOPPANグループでのDXを主導してきただけに、物流DXコーディネーターとしてアイオイとTOPPAN、さらにその先の連携でも手腕を発揮する。

同社では22年にシステムソリューション部を新設してソフト開発に着手、ソフト先行型のビジネスモデルに取り組み、独自のWMS(倉庫管理システム)、WCS(倉庫制御システム)開発を進めている。さらにTOPPANデジタルと、物流データの可視化から一元化・分析を支援する物流DXソリューション「LOGINECT」(ロジネクト)の開発で連携するなど、物流データ活用分野でのコーディネーターとしての機能を強化。また、TOPPANグループの印刷工場を3PL用倉庫として転換する動きもあり、ロボティクス企業、各種ベンダーが連携する先端物流施設でのコーディネーターとしても、グループ企業とのシナジー効果を生かした物流DXの中心的役割を担う。

新生アイオイが目指す「驚き・感動・喜び」あふれる明るい物流現場づくり

先代創業者が強力な開発力、発想力、開拓力で牽引してきた同社は、吉野社長の下で「チーム経営」「ボトムアップ経営」へと変革の途上にあり、「創業者に鍛え上げられた個の力を結集することで、これまで以上の成果を残すことが目標」(吉野氏)とする。海外では発音しにくいという「アイオイ」から、新しいイメージロゴ「AIOI」(エーアイオーアイ)を中心としたブランディングで、「革新的なアイデアで世界を驚かせ未来をデザインする」という企業メッセージを具現化し、物流現場に驚き・感動・喜びを提供することで、物流危機の解決へ導く。

吉野氏は、「物流現場で働く人たちが、私たちのシステムが入っているか否かを、そこで働く重要な判断基準とするような、そんなソリューション提供者でありたい」と、会社の未来像を語った。

■ピッキングシステムの利用事例

■ピッキングシステムとAGVを活用した省人化ソリューション