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商船三井は68.1%の経常減益、今期も減益予想

2024年4月30日 (火)

調査・データ商船三井が30日発表した、2024年3月期連結決算は、売上高が前年比1%増の1兆6279億1200万円、営業利益が同5.1%減の1031億3200万円、経常利益が68.1%減の2589億8600万円、最終利益が67.1%減の2616億5100万円と、増収大幅減益となった。

ドライバルク事業の売上高は7.9%減の3995億円、経常利益は35.4%減の372億円。ケープサイズ市況は鉄鉱石出荷が高止まりで順調だったが、中国の経済回復が懸念されたことや、西アフリカで雨によりボーキサイトの出荷が停滞するなど、市況が下落する局面も見られた。パナマックス以下の市況は、石炭や穀物の荷動きが堅調だったが、中国経済への悲観的観測から低調に推移した。下半期に入り、パナマ運河の水不足やスエズ運河沖の地政学リスクの高まりで船腹需要が引き締まり市況は回復に向かった。

エネルギー事業の売上高は12.6%増の4378億円、経常利益は69%増の669億円。タンカーは1年を通じ、OPECプラスの協調減産により中東発の荷動きが振るわず、需給が緩んだ状況が続いたものの、ロシア産原油輸入がなくなったことによるトンマイルの伸長や、アメリカやブラジルなどから代替的な原油供給が継続したことで、市況は好調を維持した。石油製品船、ケミカル船、LPG(液化石油ガス)・アンモニア船も、対ロシア制裁による貿易パターンの変化を受け、アメリカ・インド・中東から欧州に向けた長距離輸送が増加してトンマイルが伸長した。

オフショア船は既存の長期貸船契約などで安定。LNG(液化天然ガス)船は既存の長期貸船契約や新規契約により前期並みの利益を確保した。

製品輸送事業では、売上高が1.2%減の6187億円で、経常利益は82.2%減1255億円、うちコンテナ船の売上高が6.2%増の563億円、経常利益が91.7%減の515億円だった。コンテナ船では、持分法適用会社のオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE、シンガポール)で新造船の完成が増えたことや、ヨーロッパなどでの消費回復の遅れにより運賃市況が下振れるなどで大幅な減益となった。自動車船は、完成車の海上輸送需要が1年を通じ引き締まった状況が続いた上、柔軟な配船計画の見直しが奏功し増益に転じた。

25年3月期業績は、売上高が10.6%増の1兆8000億円、営業利益が47.4%増の1520億円、経常利益が11.2%減の2300億円、最終利益が17.8%減の2150億円と予想。エネルギー事業や製品輸送事業で増益を見込む一方、ドライバルク事業は市況回復傾向が続くとの予測も、同事業で過去に計上していた貸倒引当金の戻し入れなどで減益振れると予想する。

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LOGISTICS TODAY編集部
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