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不当取引疑いの573荷主に注意喚起、公取委

2024年6月6日 (木)

調査・データ公正取引委員会は6日、荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を規制するために行った調査の結果を受け、独占禁止法上の問題につながる恐れがあるとして、573の荷主事業者に対して具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付したと発表した。

荷主と物流事業者に行った書面調査と、これを受けて不当取引が疑われる荷主事業者に対して行った立ち入り調査の結果を踏まえ、今回の注意喚起を実施した。書面調査は荷主1万8172事業者と、物流事業者2万103者から回答を得た。調査対象は荷主向けが2022年9月1日から23年8月31日、物流事業者向けが23年1月1日から同12月31日。

注意喚起を行った荷主の内訳は、製造業が46.2%(265者)、卸売業・小売業が31.1%(178者)、その他が22.7%(130者)で、詳細な分類では「協同組合」が9.2%、「食料品製造業」が7%、「飲食料品卸売業」が5.9%と多かった。

注意喚起の対象となった荷主の行為は重複を含めた687件で、割合では「買いたたき」が34.8%(239件)で最も多く、次いで「代金の減額」が20.7%(142件)、「代金の支払い遅延」が17%(117件)、「不当な給付内容の変更およびやり直し」が15.4%(106件)と続いた。

買いたたき行為では、荷主側が物流事業者から労務費上昇に伴うコスト上昇分の運賃引上げを求められたにもかかわらず、理由なしに応じなかった例や、「物流事業者が自助努力で解決すべき」と拒否するなどの例が上がった。代金の減額では、「協力値引き」と称して運賃を一方的に5%差し引いたり、運賃の支払い方法を手形払いから現金振り込みにした際に運賃を一律5%差し引いて支払ったりなど、悪質な事例もあったという。

また、23年度には、荷主と物流事業者との取引に関する優越的地位の濫用につながる恐れがあるとして、計17件の注意を行ったとしている。注意対象となった業種は、協同組合3件、道路貨物運送業2件、食料品製造業2件、プラスチック製品製造業2件、金属製品製造業2件。注意対象となった行為は33件で、不当な給付内容の変更ややり直しが最も多く12件あった。

公取委は今回の調査結果を受け、関係省庁や関係団体を通じて周知徹底を図り、違反行為の未然防止に向けた取り組みを進めていくとしている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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