行政・団体公正取引委員会は24日、2024年度における「荷主と物流事業者との取引に関する調査結果および優越的地位の濫用事案の処理状況」を発表した。独占禁止法に基づいて指定する物流特殊指定の順守状況や、荷主と物流事業者の間の取引の実態について継続的に調査し、その結果から問題点を明らかにした。同委員会は不適正な取引が疑われる646荷主に注意喚起文書を送付し、取引適正化に取り組んだ。
注意喚起文書を送付した荷主の業種別内訳は、協同組合が最も多く、続いて飲食料品卸売業、建築材料・鉱物・金属材料など卸売業の順となった。また、注意喚起文書の送付先上位3業種の協同組合には、主に農産物や林産物、水産物などの販売を担う団体が含まれた。
注意喚起文書を送付した荷主の行為類型別では、「不当な給付内容の変更およびやり直し」が最多。「代金の支払遅延」「買いたたき」が続いた。「不当な給付内容の変更およびやり直し」は積載数量や発着地、集貨日などの取り決め変更による追加費用の未払い、荷待ち対応に関連する問題が主だった、また「代金の支払遅延」では、荷主側の事務処理遅れや経理部門による請求書の回付失念によって運賃の支払いが期限を超過するケースを指摘した。
「買いたたき」が発生した案件では、無償で提供させていた付帯業務の料金追加を一方的に却下する、コスト上昇局面に運賃引き上げ要請がなかったとして価格交渉をせず、据え置かれる事例があった。具体事例として、飲食料品卸売業が発注当日のキャンセルで物流事業者に発生した費用を支払わなかった例や、協同組合が選果場の設備故障を理由に出発時間を一方的に遅らせ、待機人件費を補償しなかったケースなどが明らかになった。
建築材料・鉱物・金属材料等卸売業では積み込み時間の急変更で追加費用を負担せず、飲食料品小売業などでは支払期日超過が問題となった。また、機械器具卸売業が無償作業や運賃の一方的な減額を求める、家具・装備品製造業が展示会出展時に製品購入を強制、鉱業・採石業・砂利採取業がグループ給油所の利用を強いた案件なども判明した。
物流業界に関して公正取引委員会は現下の変動する物流コストに対応した取引適正化を強調した。調査内容は関係省庁や業界団体を通じて周知し、今後は25年施行の改正下請法で特定運送委託が新たに対象となることに伴い、物流分野の取引実態把握と独禁法・下請法に基づく厳正な対応を進める。
同委員会は今後も継続して監視を強化し、法的措置や警告、注意を通じた改善を促す姿勢を示した。
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