調査・データ日本商工会議所などが5日に公表した「中小企業の賃金改定に関する調査」によると、今春の運輸業正社員の賃上げ額は加重平均で5162円となり、賃上げ率は2.5%だった。全業種の中で最も低く、依然として運輸業で賃金が抑制されている実態が明らかになった。
調査は4月から5月にかけて全国47都道府県で実施し、1979社から回答があった。運輸業は56社で、全体の2.8%だった。
賃上げの実施状況をみると、運輸業で賃上げを実施すると回答したのは64.3%で、このうち、「業績が好調・改善しているため賃上げを実施」(前向きな賃上げ)と回答したのは17.9%、「業績の改善が見られないが賃上げを実施」(防衛的賃上げ)と回答したのが46.4%だった。賃上げした企業のうち、防衛的賃上げは72.2%を占めた。「賃上げを見送る」は7.1%だった。
また、業種全体では賃上げを行ったのは74.3%で、運輸業は10ポイント低かった。業種別で賃上げした企業が最も多かったのは卸売業の81.5%で、次いで製造業の80.2%だった。
一方、正社員の賃上げ額をみると業種全体の平均は9662円で、賃上げ率は3.6%だった。運輸業の平均と比べると、賃上げ額は4500円、賃上げ率は1.1ポイント高い。最も高かったのは「その他サービス業」で平均1万1883円、賃上げ率4.6%と、運輸業の2倍以上の賃上げ額だった。