話題プロロジスの営業部シニアマネージャー加島健太郎氏は、開発中のプロロジスパーク東海1とプロロジスパーク東海2の両施設について「地域とともに成長する、都市近郊の物流施設」と胸を張る。街と一体となっての開発によって、限られた物流適地での用地取得や地域の理解、人材の確保など、物流施設開発に共通するさまざまな難題をクリアした開発プロジェクトとは、一体どのようなものなのか。

▲プロロジスパーク東海1(右) 、東海2(左)完成予想図
都市の中核機能として、地域と連携して活性化を担う物流施設
プロロジスパーク東海1・東海2の両施設は、名古屋市と名古屋湾東岸沿いに隣接する、愛知県東海市で開発が進められている。開発地は市の中枢である名古屋鉄道常滑線・太田川駅からは徒歩8分と、まさに地域の中心となる希少な大型物流施設である。太田川駅は特急の停車駅で、名鉄名古屋駅まで最短17分。名古屋中心地から15キロの距離で名古屋高速を利用して30分で到達できる場所にある。加島氏が正真正銘の都市近接と太鼓判を押すのも納得の施設だ。

▲営業部シニアマネージャーの加島健太郎氏
プロロジスは、東海市が主導する東海太田川駅西土地区画整理事業に早期から参画し、地域と連携してまちづくりを進めてきた。この整理事業は、東海市の中枢にふさわしい広域交流機能、居住機能、工業機能、物流機能などの複合的な機能を持つまちづくりを目指すもの。「テクテクTokai」(TTT)をコンセプトとして、東海市が培ってきたモノづくりの伝統を生かしつつ、多様な都市機能を配置した「歩いて楽しいまち、にぎわい溢れるまち」の形成を目指すという。全34ヘクタールに及ぶ開発計画の3分の1が、プロロジスパーク東海1と東海2のエリアに充てられ、物流機能を生かした地域活性化に貢献する。
交通インフラ整備進み、物流適地の評価高まる東海市
施設の担うべき役割を支えるのは、充実した周辺交通インフラ環境であり、さらなる整備計画がそれを後押しする。
「名古屋市内への配送利便性はもちろん、伊勢湾岸自動車道と接続する東海ジャンクション(JCT)までは4.3キロ。伊勢湾岸道路から新東名、新名神を利用することで、東西への広域配送においても最適な拠点設定が可能」(加島氏)である。
16年以降、伊勢湾岸自動車道が新東名、新名神との接続による利便性を高めたことを契機に、東海市など愛知県の湾岸エリアの物流適地としての評価が高まっている。しかし、東海市での物流施設の供給はまだまだ少ない現状である。物流の2024年問題に対応する中継拠点、空港や港湾などモーダルシフトを見据えた物流再編の中核となることも想定できるなど、東海市での施設開発を待ち望む声は大きい。
名古屋市と国際空港を結ぶ立地を最大限に活用できるような道路整備も進行する。「施設の西側を南北に貫く西知多道路は、東海JCTから中部国際空港(セントレア)を結び、27年の全線開通に向けて整備が進んでいる。合わせて新たに(仮称)大田ICが施設の隣接地に開設される計画で、整備完了後は中部国際空港まで20分でアクセスができる」(加島氏)。
名古屋市と空港方面の南北を結ぶこの高規格道路には、現在でも加家ICまで1.8キロ、4分と至近であるが、施設直結ともいえる新ICが供用されれば圧倒的な配送機能の向上となることは間違いない。また名古屋港へのアクセスも良好で、新ICの供用で更なるアクセスの向上となる。名古屋市内と東西広域に加えて、空港・港への接続での利便性も特筆すべき立地から、海外までを見据えた物流再編計画も支えるポテンシャルだ。将来的には新IC隣接の特性を生かした自動物流など、高機能な幹線物流への接続などをけん引する施設となることも想定できる。
地域交流、観光拠点など多様な使命に応える、まちの中心施設
東海太田川駅西土地区画整理事業へのプロロジスの参画は、東海市のまちの将来像を見据えた事業提案が評価され、実現した。加島氏は「地域と連携しながら(東海市の)整理事業の開発コンセプトに沿った施設開発を主導していきたい」と語る。
東海1の敷地内には、地域のイベントやまちおこしの拠点機能を備える“にぎわい広場”を開設し、人々の交流の場として提供する予定。また東海市が観光スポットとして打ち出している湾岸の工場地帯の夜景を望むスペースには“展望ラウンジ”を開設し、「物流機能だけではなく地域交流、観光交流拠点、さらには防災拠点としても地域に貢献する計画」(加島氏)だという。
プロロジスパーク東海1は、7万2800平方メートルの敷地に4階建て、延床面積16万平方メートルの規模の大型マルチテナント型物流施設となる。ダブルランプウェイの高い機動力と、安全性にも配慮した中央車路を採用。大型車両が各階に直接アクセスでき、800坪程度の小区画分割にも対応可能なフロアも用意し、大規模な運用から成長過程の運用まで幅広いユーザーごとの拠点計画に対応する。竣工が予定される27年5月には、にぎわい創出や観光拠点となる広域交流地区としての機能の整備も進むなど、街の全貌も徐々に明らかになるだろう。

▲営業部マネージャーの小林千代子氏
大手ホームセンターなどの商業施設も進出予定であり、施設で働く人々自身が街のにぎわい創出の主役となるのではないだろうか。また、入居企業にとっては地域産業との連携による事業拡大や企業価値の向上などが期待できるだろう。営業部マネージャーの小林千代子氏は、「東海市は名古屋市のベッドタウンとして人口増の傾向が続く貴重な自治体であり、さらにそのにぎわいが集まり、憩いの中心となるのがこのエリア。人材確保と雇用の安定という点においても、ほかの施設にはない魅力にあふれた施設となる」と語る。
プロロジスパーク東海1の南側に隣接するプロロジスパーク東海2は、2万9300平方メートルの敷地で、カスタマーの要望により特殊仕様に対応したBTS施設としての開発も視野に入れているという。
また、両施設とも入居企業のBCP対策に応える防災性能を備えるとともに、プロロジスパーク東海1に開設される予定のカフェテリアなど、働く人にとっての快適な環境を整えるという。プロロジスパーク東海1に続いて東海2が完成すれば、2つの大型施設が東海市の中核、太田川駅の玄関口に並び立つ景観となる予定だ。
まちとともに成長し、次代の物流を構築する
整理事業は市の“顔”ともなる中心地を形成するプロジェクトであり、切り離すことのできない生活と物流のあり方を体現するものとなるのではないだろうか。
整理事業ではプロロジスパークを中心とする産業物流地区や広域交流地区のほか、日本福祉大学を核とした

▲開発エリアの巨大看板。地域の期待の大きさがうかがえる。
学術文化地区、駅近の利便性を高めた住宅地区などの開発が順次進み、高次機能地区とされる区画では、新たな住民や観光客を呼び込む高層マンションとホテルの着工がそれぞれ27年度に予定されている。同年に予定される西知多道路の全線開通、エリアに隣接するインターチェンジの供用開始による物流機能の向上と合わせて、地域の期待も高まる。
小林氏は「新たなまちの誕生、成長と足並みをそろえていくことは、またとない機会。経済活性化や雇用の創出のみならず、ともにまちづくりをしていく、ともに成長していく物流施設にしてゆきたい」と抱負を語る。整理事業完了を目指す29年に予定されている、“まちびらき”も待ち遠しい。街を育て、街に育てられる2つの施設は、今後も施設の集積が続く名古屋港エリアにおいても、ひときわ異彩を放つ存在となるだろう。
■プロロジスパーク東海1
所在地:愛知県東海市⼤⽥町「東海太⽥川駅⻄⼟地区画整理事業」地内
延床面積:15万9988平方メートル
アクセス:伊勢湾岸自動車道、名古屋高速4号線、西知多産業道路・東海ジャンクションから4.3キロ
完成:2027年5月予定
<物件紹介ページ>
https://www.prologis.co.jp/portfolio/chubu/tokai1
■プロロジスパーク東海2
所在地:同上
延床面積:6万3693平方メートル
アクセス:同上
完成:未定
<物流施設に関する問い合わせ>
https://prologis.form.kintoneapp.com/public/inquiry-pp