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新たな物流要衝・名古屋市港区で「LOGIFRONT名古屋みなと」開発進む

LOGIFRONT、名古屋市内へ物流最適化提案

2025年2月18日 (火)

話題名古屋市の全人口は233万人、港区だけでも、14万人を数える大消費圏である。東京首都圏と関西エリアを結ぶ広域配送の中心地にも位置付けられる中部エリアの物流施設市場は、小牧ジャンクション(JCT)周辺エリアや愛知県一宮市などの内陸部から、伊勢湾岸道路沿線の弥富市へと開発エリアを拡大してきたが、名古屋市中心部、人口の密集地により近接する名古屋市港区エリアでの施設供給はまだまだ少ない。

▲(仮称)「LOGIFRONT名古屋みなと」完成予想図

(仮称)「LOGIFRONT名古屋みなと」は、今後ますます物流適地としての評価を高め、施設の供給が待ち望まれる名古屋市港区からの特性を生かした物流拠点計画を実現する施設として、ことしの11月竣工を目指す。同施設の開発コンセプトや、構築できる物流イメージについて、施設をトヨタホーム(名古屋市東区)と共同開発する日鉄興和不動産(東京都港区)と、リーシング・マネージャーを務めるククレブ・アドバイザーズ(千代田区)から話を聞いた。

名古屋市内への配送拠点、LOGIFRONT名古屋みなとの優位性

日鉄興和不動産の担当者は(仮称)LOGIFRONT名古屋みなとについて、「なによりも、名古屋の市内配送に最適な立地であることに注目してもらいたい」と語る。

開発用地は、名古屋市南部の港区市街地にある。最寄りの鉄道駅・名古屋臨海高速鉄道の港北駅から名古屋駅までは12分という距離感からも、いかに市内中心部に近接した物流施設であるかがイメージできるだろう。

名古屋第二環状自動車道・南陽インターチェンジ(IC)までは4キロの距離、名古屋高速道路・港明ICへも4.2キロで接続でき、市内と伊勢湾岸道路エリアの南北を結ぶこの2本の基幹道路は、ラストワンマイルの優れた配送能力を支え、EC(電子商取引)需要の高まりなど、次代の物流需要に対応する。特に、名古屋第二環状自動車道は2021年に全線開通し、南陽ICもそれに合わせて新設されたばかり。市内をターゲットとする配送機能を、名古屋市中枢をぐるりと取り囲む交通インフラの完成が後押しする。

▲周辺図(クリックで拡大)

伊勢湾に面する港区の物件ながら、港湾地区の制約を受けるエリアからも外れた市街地エリアの都市型物流施設である(仮称)LOGIFRONT名古屋みなとは、隣接地にショッピングモール、アピタ港店があり、大型ホームセンターのカインズも近接する。“名古屋みなと”という名称から、暮らしと切り離された殺風景な倉庫だと勘違いしてはいけない。むしろ、そこで働くこと自体が日々の暮らし、生活と密着した施設だといえるだろう。

名古屋市港区は、湾岸周辺エリアの中でも人口密度が高く、豊富な労働人口に支えられている。安定した労働力の確保に優位性があるとともに、周辺の商業施設など都市型施設として、人材獲得だけに終わらない安定した雇用まで期待できる。

市街地だけに、通勤の利便性にも強みがある。朝夕帯を中心に豊富な路線バス便が、施設近くへ接続するほか、通勤などに使える駐車場も55台分のスペースを確保している。近年、自動化などによる人手不足の対応が検証されているが、この施設では地域の豊富な労働力、充実した労働環境を武器にした物流を構築して、次世代運用の準備に備えるという計画も、物流オペレーションの選択肢とできるのではないだろうか。

地域の物流ニーズを見据えた、最適な施設の提案

計画建物は、延床面積2万1860平方メートル。4層ボックス構造で、保管能力とセキュリティー確保に優れる。今後、エリアで開発されるほかの物件と比較して、とりわけ「巨大さ」を売りにしているわけではなく、むしろ地元の企業などの利用を促すような規模感を意識した設計となっている。もともと、自動車部品など地元製造業も多く、市内の豊富な食料加工品や日雑品需要への対応が求められるエリア。老朽化した自社倉庫からのリプレイス需要も高まっている。

施設も6000坪規模の施設1棟丸ごとを専用施設的な運用と、2区画に分割した最大2テナントの利用を想定。ククレブ・アドバイザーズの担当者は、「当然ながら大手の物流・倉庫会社、3PL企業もリーシングターゲットに入っているものの、本施設の特徴は名古屋市中心部への近接性と、最小3000坪というコンパクトさ」と語る。

▲広域図(クリックで拡大)

大消費地である名古屋市中心地に近接していることから、EC企業などの市内配送向けラストワンマイル需要を取り込むとともに、産業集積地である愛知県特有の産業系倉庫ニーズもターゲットとしている。「事前のマーケット調査でも地元の製造業・卸売業の需要ロットは2000から3000坪のボリュームが多いことは確認している。自社倉庫の新陳代謝ニーズの増加も相まって、本施設が地元企業の倉庫需要の受け皿となる物件と考えている。足元では、一棟利用・分割利用の双方で引き合いも多い。真摯(しんし)に利用者のニーズや要望と向き合いながら、拠点戦略のサポートにつながるリーシング活動を進めていくことで、オーナーとしてもテナントとしても双方良しの物件としたい」(ククレブ・アドバイザーズ担当者)という。

最大でも2テナントまでの入居となる施設計画となるため、一つ一つ丁寧な対応で拠点計画を後押しできるという利点もある。日鉄興和不動産の掲げる「人と向き合い、街をつくる」の理念をリーシングにも生かし、ユーザーの運用を力強く後押しすることが、施設の“完成”となる。

使いやすさが物流再編のアイデアを実現

整形のきれいな長方形の土地形状も、施設の大きなセールスポイントである。庫内スペースも同様に整形状に設計され、ラックの配置、動線の設定、自動化機器の運用などの観点でもデッドスペースが極小化し、フロア計画もイメージしやすい。有効スペースを最大限活用したレイアウトの見直しとコスト削減、生産性の向上を課題としている企業にとっては、理想的な形状である。また、整形の用地ゆえに、施設の四方すべてを道路に面した設計とすることもできた。車両と歩行者、自転車の出入り口を分離し、効率的かつ安全性に配慮した動線配置と機動力の高い運用を実現している。

施設の1階部分には、2区画分それぞれに10トントラック前提で11台分ずつ、全部で22台分のトラックバースを確保。もちろん、各区画ごとに荷物用エレベーターと垂直搬送機を1機ずつ標準装備とし、上下階への搬送力も充実した設計で、多層フロアを生かした多様な保管計画なども実現できるだろう。事務所用スペースは1階だけではなく4階にも用意されており、上階を休憩スペースとするなど、施設作業者のアメニティを向上させるような計画も可能だ。


▲(左から)1階断面図、4階断面図(それぞれクリックで拡大)

見えない部分に込められた質実剛健な開発理念

環境対策への配慮では、屋上部分に太陽光発電設備を設置予定で、再生可能エネルギーの利用も可能とし、入居企業のカーボンニュートラルの取り組みを後押しする。

そもそもこの施設は、その建設段階から環境への配慮、周囲との調和が取り入れられてきた。屋上部分には太陽光発電パネルを設置予定であるとともに、外壁には金属断熱サンドイッチパネルを採用。鉄骨の一部に鉄鋼生産から施工時までのCO2排出量を削減できる高機能鉄骨と建築ソリューションを採用しており、ユーザーの目には見えない部分でも地球環境と地域への配慮に取り組んでいる。トラックの入出庫動線は、隣接する大型商業施設への入出動線と合わせた方角に配置、住宅地と隣接するがゆえに、トラックのヘッドライト照射が近隣住宅の迷惑とならないよう、目隠しとなるフェンスの高さなどの細かい部分でも配慮された計画となっている。

また、キュービクルなどの重要設備は屋上部分に配置し、入居テナントの事業継続支援となるBCP対応への配慮も行き届く。港区というとハザードリスクが意識される立地ではあるものの、こうした細やかな工夫により入居テナントの事業の安定性・継続性を陰ながら支える施設設計となっている。日常の業務では気にすることのない建築資材、周辺の理解などへの丁寧な対応に、この施設の質実剛健ともいえる実力の一端を見ることができる。

「便利な立地で使いやすい」施設として、物流再編による成長支える

日鉄興和不動産にとっては、物流施設LOGIFRONTシリーズの中部圏第1弾物件となるのが、この(仮称)LOGIFRONT名古屋みなとである。首都圏、関西圏での開発で物流ニーズに応えてきた同社にとって、幹線物流の中継拠点としても利便性の高い名古屋市エリアの開発は、より広い地域での、物流貢献の取り組み拡大を表明する施設ともいえるだろう。

▲車での移動時間を表す図。名古屋市全域を60分圏内に収めている(クリックで拡大、出所:総務省「国勢調査に関する地域メッシュ統計」)

汎用性や使い勝手の良さを重視し、標準的なスペックは持ち合わせた上で、大手だけではなく地元企業の現実的な選択肢となるコスト感、規模感などとを兼ね備えたこの施設をひとことで表現するならば、「便利な立地で誰でも使いやすい」というフレーズがピッタリではないか。高度なスペックを追い求めることも重要ではあるが、最終的にはテナント企業への賃料負担増につながってしまい、地元企業が手を出しにくい物件になるリスクも往々にして存在する。

抜群の立地利便性を兼ね備える同施設は、あくまで殊更に新規性やコンセプトを主張するのではなく、市内配送への卓越した利便性を最大限活用するための基本にこだわった施設、あらゆる面でユーザーの物流ニーズに応じた堅実な後押しを約束する施設といえる。スペックの上限値にばかりにとらわれず、自社の物流再編にとって必要な機能を持った施設を見極めることこそが、物流戦略による企業成長の重要な要素となるのではないだろうか。

(仮称)「LOGIFRONT名古屋みなと」概要

所在地:名古屋市港区当知2-1301
延床面積:2万1536平方メートル
アクセス:名古屋第二環状自動車道・南陽ICから4キロ、名古屋高速道路・港明ICから4.2キロ、名古屋臨海高速鉄道あおなみ線・港北駅、荒子川公園駅から徒歩20分
倉庫基本スペック:梁下有効高5.5メートル、床荷重1平方メートルあたり1.5トン
完成:2025年11月(予定)

物件に関する問い合わせ先:ククレブ・アドバイザーズ 営業本部(担当:小室・油井)
東京都千代田区内神田1-14-8 KANDA SQUARE GATE 8F
TEL:03-6272-8642 / Mail:t-yui@ccreb.jp