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外食産業市場、ファストフードは好調維持

2013年8月23日 (金)

フード富士経済(東京都中央区)は23日、国内の外食産業市場の実態を調査し、結果をまとめた「外食産業マーケティング便覧2013」(2分冊)を発行した。外食産業14分野129業態を網羅し、市場の動向を分析した。

外食産業(14分野129業態)の市場規模は2012年の32兆2597億円から、13年は32兆3722億円へと0.3%拡大する見込みで、ファストフードのように好調を維持する分野が存在する一方、料飲店や日本料理など現状に課題を抱え、企業戦略の転換と新しい付加価値の提案が求められる分野もあり、明暗が分かれた。

分野別(市場規模1兆円以上)で最も規模が大きいテイクアウト(13業態)は6兆1421億円(0.8%増)となる見込み。需要が中食にシフトし続けていることから、富士経済は「新規出店で5万店越えのCVSデリカが2兆1579億円、差別化戦略で量販店デリカが1兆9015億円と拡大を続けて12年はプラスとなり、13年も堅調に伸びる」との見通しを示した。チェーン系スイーツ店も上位企業が駅前やショッピングモールなどに出店を強化して牽引することで底上げが期待される。

料飲店(9業態)については、5兆8408億円(0.7%減)と微減の見通し。12年は、均一価格型居酒屋のブームが去るマイナス要因によって微減となったが、13年は、新規出店を開始したビアレストランに伸びが見られ、均一価格型居酒屋の閉店傾向も鈍化しているものの、「若年層のビール離れや家飲み志向というマイナス要因は払拭されておらず、微減が続くと見られる」とした。

宿泊宴会場(5業態)は3兆7930億円(0.2%減)。12年は東日本大震災の影響から回復して久し振りに前年を上回ったが、13年は景気回復の兆しから、ホテルや結婚式場・宴会場は宴会需要や宿泊需要の増加で上向く一方、旅館が施設数減少でマイナスとなり、前年を割る見通し。

給食(7業態)は3兆6988億円(0.4%増)の見込み。ただ、有料老人ホームを中心とした高齢者福祉施設給食は12年に5.2%増の5550億円と好調に推移し、13年は安倍政権が待機児童の解消政策を打ち出したことで、保育所の施設数が増えていくことから、幼稚園・保育所給食も拡大していくと予測した。

ファストフード(21業態)は3兆793億円(3.3%増)。12年は首位マクドナルドの不振からハンバーガーが低迷したが、ギョーザ、立ち食い・セルフ式そばうどん、回転ずし、ラーメン、牛丼などの業態が順調で市場は拡大した。13年も拡大するが、マクドナルドが主力商品で値上げを行い、牛丼各社は値下げを行うなど市場は混沌としてきている。

日本料理(14業態)は2兆6967億円(1.1%減)となる見込みで、ボリュームゾーンを占める単独店の売上低迷、経営者の高齢化、後継者難などで、相次ぐ閉店が響いて縮小が続くとしている。すきやき・しゃぶしゃぶだけは旺盛な需要が持続し、上位チェーンの店舗数の増加と既存店の堅調さが見られ、拡大している。

喫茶(9業態)は1兆4093億円(0.1%増)。コーヒーショップが高価格型のリードで12年は3.5%増の3397億円、13年は3503億円と伸び続ける。フルサービス型の喫茶店・コーヒー専門店で、多店舗化によって急拡大する企業が目立っており、この動きに影響されてセルフサービス型店舗のコーヒーショップチェーンも郊外への進出や、既存店の店舗内装を見直す動きが見られる。

ファミリーレストラン(9業態)は1兆2999億円(0.9%増)の見込みで、低価格要求に応えたチャンポンや、外食にコストをかける消費傾向が追い風の高価格型、店内調理重視が奏功した中華、しゃぶしゃぶ食べ放題が好調な和風などが牽引役となって伸びる。既存店の売上回復に一定の進展が見られたことで、新規出店に対する注力度が高まり、店舗数が増加している。

東洋料理(6業態)は1兆2924億円(0.8%増)で、韓国料理が店舗数の増加と既存店の伸びから売上を増やしているほか、焼肉料理も前年の需要回復が持続し、微増の見込み。

ホームデリバリー・ケータリング(7業態)は1兆1843億円(0.3%増)。宅配ピザ、宅配釜飯、病者・高齢者食宅配などの売上が増加して12年は微増となった。13年は、病者・高齢者食宅配、宅配ピザ、宅配釜飯が好調に推移しているが、宅配ずしや仕出し弁当・ケータリングの減少によって、微増となる見込み。

ただ、病者・高齢者食宅配は急速に需要を取り込んで成長を続けており、12年には企業の新規参入が急増して16.9%増、13年には900億円超が見込まれる。