話題「第6回 関西物流展」に、野村不動産が初出展を果たす。西日本最大の物流展に初出展する狙いとは何か、同社の都市開発第二事業本部 物流事業部 営業企画課の山崎陽世里氏と、都市開発第二事業本部 物流事業部 事業企画課の朝倉南氏の2人に話を聞いた。

▲(左から)朝倉南氏、山崎陽世里氏
関西、西日本へ、Landportの開発が加速
「2026年から28年にかけて、関西・西日本での施設開発が集中します。これを機に、関西、西日本エリアでもLandport(ランドポート)を浸透させていきたい」と山崎氏はいう。
野村不動産の物流施設「Landport」は、関東エリアなどを中心に25年3月末までに延床面積69万坪、計44棟が開発されてきたが、関西・九州エリアでは、高槻(高槻市芝生町)、京都南(京都府向日市)、福岡久山Ⅰ(福岡市糟屋郡)などの4件が稼働しているのにとどまる。
今後、「(仮称)Landport京都伏見」が27年5月に完成予定。また、大阪国際空港(伊丹空港)至近の大規模用地での開発プロジェクトである「(仮称)Landport北伊丹」が28年春ごろ完成予定で開発されることから、「関西エリアのニーズに応えられるだけの大型施設開発が続くことをきっかけに、Landportを通じた私たちの取り組みへの認知も深めていきたい」(山崎氏)という。京都府と兵庫県それぞれの新拠点は、巨大商圏・大阪までをターゲットとした配送戦略の拠点となるポテンシャルを備える。拡大を続ける関西のEC(電子商取引)需要などの受け皿になることで、業界活性化の強力な後押しとなるだろう。
さらに、ことし10月には、愛知県大府市の「Landport東海大府I」もいよいよ完成する。愛知を中心とした中部圏・東海エリアの巨大商圏への配送機能を担う大型プロジェクトの稼働だけに注目も集まる。また九州エリア、福岡県内には「Landport福岡久山II」(26年11月)、「(仮称)Landport福岡古賀I」(27年3月)、「(仮称)Landport福岡古賀II」(28年2月)が続々と予定されているなど、中部以西の主要各地へと開発を広げて、Landportが全国をつなぐ物流ハブとして機能する体制が整えられる状況だ。
関西市場にもテクラムの意義を拡大
今回野村不動産が、「物流不動産」のゾーンではなく、「搬送/仕分け/ピッキング」ゾーンで出展していることも注目される。近年、物流課題の解決やあるべき未来像について提起するなど、単なる物流施設の提供にとどまらない同社の取り組みが、出展ゾーンの選定にも表れている。
「今回のブースには、Techrum(テクラム)参加パートナー企業も参加。私たちが中心となるテクラムの取り組みも、関西エリアで紹介します」と朝倉氏は語る。
テクラムは、物流現場の効率化提案などを通して荷主企業・物流企業の課題解決を目指す企業間共創プログラムである。現在は、現在110社を超える多様なパートナー企業が取り組みに賛同し、新たな連携や効率化アイデア創出の拡大も期待される。
「今回は参加パートナー企業からシリウスジャパン(東京都中央区)のピッキングAMR(自律搬送ロボット)と、ロジカルイノベーションズ(渋谷区)の台車『スマートキャリー』を展示します」(朝倉氏)。会場では協働型AMRによる庫内作業者の負担軽減運用を体感し、庫内を歩行することなく乗用台車で移動できるスマートキャリーの乗り心地を試すこともできそうだ。
テクラムにはこれら庫内の作業者の移動負荷を削減するツールのほか、入荷から出荷までの全工程の多様な自動化ソリューションが集まり、工程間の隔たりを超えて取扱商品の特性に応じたオペレーションの最適な提案を行う。ブース内ではパートナー参加企業の工程ごとの取扱いソリューションを示し、全体最適化への道筋をわかりやすく紹介する。
「110社を超える企業の改善提案を、私たちが窓口となって一元化できるのも強み。部分最適にならない物流工程の抜本的な見直しに、テクラムが貢献できることを訴えたい」と朝倉氏は語る。最適な倉庫運用に向けた入居前の不安や、入居後の運用相談に至るまで、全体最適化のための最新ツール紹介だけではなく、使いやすく安心して運用できる施設作りを支援する。山崎、朝倉両氏は「倉庫開設の不安と手間は、デベロッパーと共に解決する時代です」と呼びかけた。

▲110社を超える企業のソリューションが集まる「Techrum」(テクラム)の仕組みで企業の物流課題解決をサポート
物流議論、CLO活動支援など、多角的に物流革新を主導
いまや野村不動産は、物流施設の提供だけではなく、大手不動産事業の知見やアセットを生かして、DX、物流共同化に必要な連携や投資への先進的なサポート、多様な関係者の結節点としての役割を担っている。関西物流展のセミナー会場では、3日間の期間中、日替わりテーマで「関西版物流議論」を展開し、これからのCLOを中心としたあるべき物流の姿について検証を続けていく。CLOが先導する物流体制の構築に向けて、CLO同士で物流課題を話し合う場、「CLOサロン」立ち上げに協働し、個社取り組みではなく連携・ネットワーキングによる物流変革を促す中心となっていることなども明らかになるだろう。
セミナー会場の「関西版物流議論」も必見だが、展示ブースの受け入れ態勢も万全だ。「倉庫を探している荷主、物流会社だけではなく、ITベンダーも立ち寄ってもらいたい。このブースにくれば、何かいい情報、何かいいことがある、そんな賑やかなブースにしたいと考えています」(山崎氏)。ブース来場者にはガチャガチャを回して、スタッフが厳選した特典を入手できるお楽しみも用意しているという。「この記事を読んだと声をかけていただいた方には、さらにもう1回、ガチャガチャを回すチャンスを提供します」(朝倉氏)という。これがきっかけで足を運ぶのも何かの縁、そこから生まれた連携が、物流業界を大きく変えることだってあり得るのだ。
会期:2025年4月9日(水)-11日(金)10時〜17時(最終日は16時まで)
会場:インテックス大阪(大阪市住之江区南港北1-5-102)
来場方法:公式ウェブサイトでの「来場者事前登録」が必要(無料)
https://kansai-logix.com
【野村不動産 展示ブース情報】
カテゴリー:搬送/仕分け/ピッキング
ブース番号:A3-52(6号館)
4月9日(水)16時-16時30分
4月10日(木)15時10分15時40分
4月11日(金)14時20分-14時50分
※関西物流展会場のリアル参加とオンライン視聴のハイブリッド形式で開催
※リアル会場はいずれも4号館7会場、視聴は先着順
※リアル、オンラインとも聴講無料
<詳細・オンライン視聴申込>
https://www.logi-today.com/745183