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成長には積極的な投資や価格転嫁を、中小企業白書

2025年4月25日 (金)

行政・団体政府は25日の閣議で、2025年版の中小企業白書と小規模企業白書を決定した。中小企業などの成長には、積極的な設備投資やデジタル化、適切な価格転嫁などで付加価値や生産性を高めることが必要だと指摘した。

白書をまとめた中小企業庁によると、円安・物価高の継続や日銀の金融緩和政策の変更などによって、生産や投資のコスト増、構造的な人手不足など、中小企業や小規模事業者は厳しい状況に直面している。一方で、雇用の7割を占める中小企業や小規模事業者への期待は大きく、地域コミュニティ・経済・文化・課題解決の担い手として、地域経済基盤を維持し、地域のニーズに細やかに対応する役割も期待されている。

こうしたことから同庁は、中小企業・小規模事業者が課題を乗り越え、成長・持続的発展を遂げるには「経営者に、状況と方向性を把握し、適切な対策を打つ『経営力』が求められる」と指摘。今年の白書では「経営力」に焦点を当て、事例を交えつつ分析を行ったとした。

白書によると、24年度は円安・物価高が継続し、ゼロ金利政策も終了して金利が上昇した。輸出より輸入比率が高く、借入金依存度も高い中小企業・小規模事業者にとって、利益下押しのリスクが高い状況となっている。

また、昨年の春季労使交渉では、30年ぶりの賃上げ水準となったが、大企業と中小企業の差は拡大した。中小企業の労働分配率は8割に近く、さらなる賃上げ余力に乏しいうえ、人手不足も深刻で、人材確保を目的とした業績改善をともなわない賃上げも増えている。

こうした状況を踏まえ、白書では「コストカット戦略は限界を迎えている」と指摘。積極的な設備投資やデジタル化、適切な価格設定や価格転嫁の推進で、付加値や労働生産性を高める経営に転換していくことが必要だと強調している。

そのうえで、白書は求められる「経営力」について、「個人特性面」「戦略策定面」「組織人材面」の3つの観点から分析。異業種・広域ネットワークで他の経営者と交流し、学び直しに取り組む経営者の成長意欲の高さは業績向上に寄与するとしたほか、差別化や市場環境を意識した適切な価格設定を行う戦略的経営が、業績の向上や賃上げ・投資につながるとした。また、経営理念や業績・経営情報の共有を重視するオープンな経営は業績向上に寄与するとして、賃上げや社内コミュニケーション円滑化、働き方・職場環境改善など、従業員を大切にする人材経営を求めた。

その上で、売上高規模ごとに異なる「成長の壁」の打破が必要だとし、売上高100億円以上の企業では、拡大する組織を経営者とともに支える経営人材やDX人材の確保が重要だと指摘。企業規模拡大に向けた、積極的なM&Aやイノベーション、海外展開の重要性も訴えた。

一方、小規模事業者に対しては、差別化による独自の強みの創出を求めるとともに、経営計画策定などを通じて経営者のリテラシーを高め、経営の振り返りと改善のサイクルを通じた「経営の自走化」を目指すことが重要だとした。

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LOGISTICS TODAY編集部
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