話題X Mile(クロスマイル、東京都新宿区)執行役員DX事業管掌の安藤雄真氏は、同社が開発する物流向けDXプラットフォーム「ロジポケ」について、運送業界における運行管理の高度化・一元化の取り組みを強化していく方針を明らかにした。

▲X Mile執行役員DX事業管掌の安藤雄真氏
安藤氏によると、ロジポケは現在、対面点呼に対応しているが、今後は遠隔点呼や自動点呼といった新たな点呼方式にも対応していく。国土交通省が進める運行管理の高度化・一元化の流れに合わせ、機能を拡充する考えだ。新制度への対応を進めるとともに、法的要件を満たしたカメラなどの機器類との対応も進める。
「企業ごとに最適な点呼方式を選択すべきだと考えている。事業の規模や特性、従業員の状況によって、遠隔点呼が向いている企業もあれば、自動点呼が適している企業もある」と安藤氏は強調する。
例えば、「複数の拠点間をまたいだ運行管理を効率化したいが、ドライバーとのコミュニケーションも大切にしたい」といった場合は遠隔点呼が適しているという。一方で、「点呼以外にドライバーとのコミュニケーションの時間が取れており、点呼自体は効率化に全振りしたい」といった場合は自動点呼、「点呼は人と人とのコミュニケーションの機会でもある。人材定着を重視する企業では、コミュニケーションの場として点呼を大切にしたい」場合は対面点呼を継続するなど企業課題の解決の方針は企業によってさまざまと指摘する。
課題となっている点呼場の混雑解消については、「一律にどれかの方式を使うのではなく、メリハリを付けた運用が効果を発揮するケースもあるはず」だという。「混雑を解消するために自動点呼を導入するけれど、Aさんは月・水・金は自動点呼で、火・木は対面点呼。Bさんは月・水・金は対面、火・木は自動点呼というように、対面点呼を残しながらも効率化していくという使い方をすれば、コミュニケーションの機会を残す運用ができる」と提案する。
また、夜間や土日祝日の点呼対応に課題を抱える企業も多い。「コスト的に、すべての拠点に管理者を配置するというのは現実的ではない。社内の運行管理者は定時で退勤し、夜から朝まで、あるいは土日の点呼は遠隔点呼を導入すれば、人的コストや労働負荷を軽減しながら運行が可能になる。事業者全体で運行管理を集約したり、BPO(業務委託)の活用も選択肢になる」と安藤氏は語る。
「運行管理者の不足は業界全体の課題だ。管理者が疲弊している状況では業務改革も進まず、DX(デジタルトランスフォーメーション)も手がつけられなくなる。リソース不足の解消は業界の変革を進める上でも重要だ」と安藤氏は指摘する。
「事業者どころか営業所ごとに環境は異なるし、運行管理者、ドライバーごとにデジタルへの対応の度合いも変わってくる。それぞれの状況に応じて、最適な方式を選ぶことがまず第一だ」と安藤氏。「異なる方式を使っても、最終的には1つのシステムの中で『点呼』の情報として扱うことができるのが理想だし、そうでなければ現場業務の効率化は進まない。ロジポケは、そうした多様な現場の事情やニーズに合わせた対応を進めていくし、ユーザーが点呼方式をいかようにも選べるようなプラットフォームにしていく」
X Mileでは点呼だけでなく、配車や運転日報、教育、受発注など物流業務を一元管理できるプラットフォームとしてロジポケを位置づけている。「点呼の高度化・一元化に対応するだけでなく、運行管理者の業務全体を効率化することが重要。データをクラウド化して見える化を進め、管理者の負担軽減と業務の高度化を同時に実現したい」と安藤氏は展望を語った。
国交省が進める運行管理高度化・一元化の動きは、近年の物流事故を受けてさらに加速する見込みだ。「点呼は企業を守るだけでなく、ドライバーを守るためにも重要な業務。アルコールチェックだけでなく、無理な運行を防ぐためにも必要だ」と安藤氏は強調している。
既存顧客からの問い合わせも増えているといい、中小企業でも導入検討が進んでいるという。運送業界のDX推進に向け、ロジポケの果たす役割はますます大きくなりそうだ。