調査・データ米コンサルタント会社のフロスト&サリバンは8日、世界の商用車メーカーの取り組みの分析結果に基づき、成長が見込める4分野で今後必要となる成長戦略をまとめたレポートを公表した。

(出所:フロスト&サリバン)
同社によると、商用車業界は、もはや馬力や積載量、燃費を競う時代ではなくなり、イノベーションへの対応力やエコシステムの位置付け、デジタルファーストの車両管理は、最も重要な差別化の要件となる。
そして、旧来の自動車OEMはスタートアップ企業からの挑戦を受けて守勢に回っており、ソフトウェア定義プラットフォームは、機械のアップグレードを上回っている。また、各国政府は、車両を保有する企業や乗用車メーカーに対し、厳しい炭素削減義務の達成を迫っている。
こうした状況の中で、商用車メーカーは今後、どのような戦略で臨むべきなのかを、レポートにまとめた。レポートでは、北米の電気小型商用車(LCV)と、インドの小型商用車、北米の中型・大型電気トラック、北米・欧州のレベル4自動運転トラックのスタートアップの、急成長している4つの分野を取り上げている。
北米のLCVは、持続可能性への圧力が高まる中、電動化への転換期を迎えており、共有モジュラープラットフォームは、地域全体でコスト効率の高い商用EVの展開を可能にしている。このため、デジタルプラットフォームと電動化イニシアチブの拡大を基にした成長戦略が必要になるとしている。
インドのLCVは、デジタルエコシステムや政府主導のインフラ整備、手頃な価格を武器に、さまざまな変革を生み出しつつある。インドの自動車メーカー、アショック・レイランドは、高度なテレマティクスをe-LCVに統合することで、昨年9月に輸出が50%増加。マヒンドラも環境技術と燃費効率を両立した新型ピックアップトラック「VEERO」を発表した。インドでは成長著しいイノベーションエコシステムを、商用車ビジネスに活用することが求められる。
北米の中型・大型電気トラックも、地域輸送トラックから長距離輸送トラックまで、電気プラットフォームへの移行が加速している。しかし、メーカー間の競争が激しく、資本集約型の産業となっている。EVメーカーのボリンジャーモーターズは利用者のニーズにあわせて航続距離を調整するモジュラーバッテリーシステムを開発。テスラは、充電速度の向上と長距離輸送への対応に取り組んでいる。北米での電気トラック戦略は、こうした技術革新を意識する必要がある。
北米や欧州でレベル4自動運転トラックに取り組むスタートアップは、大陸を超えて資金提供を受け、自動運転のトラックの実用化や普及に向けたテストや導入を進めている。最近では、ダイムラー・トラックの子会社Torcロボティクスが貨物センター間を自動運転で走行するトラックの試験運用を大規模に進めている。物流や鉱業、農業など業界固有の特徴や課題に対応した自動運転技術は、新たな収益源を生み出しており、今後も各業界に合った自動運転技術への取組みは避けられないと、レポートでは指摘している。
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